© 2019 Haut et Count Razor Films Produktion France 3 Cinema visa n° 150 076
『悪なき殺人』ドミニク・モル監督 愛と欲望は切り離せないのでしょうね【Director’s Interview Vol.167】
人物の心理を表すロケーション
Q:映画の半分以上は冬の山で話が展開します。このロケーションが物語の寓話性をより強めていた気がしましたが、ロケーションが担ったものは大きかったのではないでしょうか?
モル:コース地方の高原で撮影したのですが、私は昔そこに行ったことがあって、とても映画に向いている場所だなと思っていたんです。原作はまさにコース地方で展開される話だったので、「やっとコース地方で映画が撮れる!」と喜んだものです。あの高原は山に囲まれていて、曲がりくねった道を通ってやっとたどり着く場所にあります。本当に要塞のような場所に孤立していて、おっしゃる通りあの雰囲気は今回の映画に必要でした。登場人物たちの孤立した側面を描くには、ぴったりの場所だったと思います。
『悪なき殺人』© 2019 Haut et Count Razor Films Produktion France 3 Cinema visa n° 150 076
Q:先の読めない秀逸なミステリーでありながら、強い寓話的要素も共存している。素晴らしく高い完成度を誇る映画になっているのですが、この映画の成功は製作のどの段階で確信できましたか?
モル:原作を初めて読んだ時に、ビジュアル・ストーリー・キャラクターに可能性を感じました。「これは映画にしたら面白くなるぞ」と直感したんです。その後、実際に制作を進めるわけですが、脚本執筆でもキャスティングでもロケハンでも、制作途中で不安になってしまうことはよくありました。また一方で、カメラ前の役者たちの化学反応を見ると、自信がつくこともあり、本当にジェットコースターに乗っているような毎日なんです。ただこういったことは、作品を作るときには不可欠だと思っています。自問を繰り返すことによって、より良い作品が出来ていくんです。
そして「作って良かった」と思うのは、お客さんの反応を見たときですね。観た人たちが楽しんでもらえて初めて、その映画の成功を確信出来るんだと思います。