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『悪なき殺人』ドミニク・モル監督 愛と欲望は切り離せないのでしょうね【Director’s Interview Vol.167】

© 2019 Haut et Count Razor Films Produktion France 3 Cinema visa n° 150 076

『悪なき殺人』ドミニク・モル監督 愛と欲望は切り離せないのでしょうね【Director’s Interview Vol.167】

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雪山で発生した行方不明事件。事態はその後、一見無関係の異なる視点から徐々にその真相を見せ始める…。時と場所を超えた視点を交錯させる、秀逸なミステリーでありながらも、愛と欲望を軸に人間の本質を炙り出していく。


映画は神の如き視点で作られ、人間の行いをただただ見つめるのみ。監督のドミニク・モルは如何にしてこの世界を作り上げたのか? 話を伺った。


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切り離せない「愛と欲望」



Q:物語の中で重なっていく“偶然”は、ともすればリアリティの欠如に繋がりかねませんが、本作は全くそんなことを感じさせず、むしろ観客をどんどん映画に引き込んでいきます。“偶然”という要素を扱うことに躊躇はありませんでしたか?


モル:“偶然”というものはストーリーを動かす一つの要因に過ぎないので、特にそういう心配は無かったです。あえていうと、少々現実離れしている“偶然的”なエピソードがひとつだけありますが、ただ、それを入れることでストーリーが円環的につながり、フィクションの美しさを作ってくれたと思います。



『悪なき殺人』© 2019 Haut et Count Razor Films Produktion France 3 Cinema visa n° 150 076


Q:不倫や詐欺に裏切りと、渦巻く欲望が人間を泥沼に沈めていきますが、当事者たちの行動原理には紙一重ですが愛も感じます。


モル:この映画に出てくる人たちの多くは、真実の愛を求めているんです。ですがそこに、お金の問題が絡んでくる。愛とお金への欲望がすごく複雑に絡み合ってしまうんです。映画にはネット詐欺が出てきますが、それも愛を利用してお金を儲けようとする犯罪ですよね。原作を初めて読んだ時は、まさにそこが面白いなと感じました。愛と欲望は切り離せないんでしょうね。




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