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『ハウス・オブ・グッチ』リドリー・スコット監督 映画化のタイミング、俳優・スタッフへの絶大な信頼を語る巨匠 【Director’s Interview Vol.174】

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『ハウス・オブ・グッチ』リドリー・スコット監督 映画化のタイミング、俳優・スタッフへの絶大な信頼を語る巨匠 【Director’s Interview Vol.174】

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自分が選んだ俳優にはすべてを任せる



Q:この作品の中心となるパトリツィアは、起こした事件を考えれば“稀代の悪女”ですが、あなたはどう捉えて描いたのですか?


リドリー:もともとパトリツィアは裕福とは言えなかったものの、貧しい家庭に育ったわけではない。偶然出会ったマウリツィオが、グッチの一族だからといって、強烈にアプローチしたのではないと、私は考えた。マウリツィオの上流家庭での育ちの良さや、女性に対する純粋さ、相手への敬意ある行動が彼女を惹きつけたので、とにかくラブストーリーを描くところから始めたかったんだ。


Q:そのような演出のアプローチを、パトリツィア役のレディー・ガガに伝えたのですか?


リドリー:いや、むしろ細かくは伝えていない。私は、信頼した俳優をキャスティングしたら、その後は彼らにすべて任せるようにしている。もちろん基本的な打ち合わせはするが、俳優によって演技のアプローチは異なるからだ。ステファニー(レディー・ガガの本名)の場合は、ミュージシャンとしてラスベガスのショーなどでも、自分のパフォーマンスに細部までこだわり、完璧な準備と責任感で臨むことを知っていた。それは映画でも同じで、私は現場で毎日、いや毎分のレベルで彼女の準備と演技に感銘を受けていたよ。そこは予想を超えていたね。



『ハウス・オブ・グッチ』ⓒ 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED. 


Q:マウリツィオ役のアダム・ドライバーは『最後の決闘裁判』に続いての仕事です。彼の俳優としての魅力は?


リドリー:『最後の決闘裁判』でアダムは、女性ならどんなことを命じても従うと考える、あの時代特有の傲慢な男性を見事に表現してくれた。一方で今回のマウリツィオはシャイで純粋な青年。パトリツィアに出会うまで、おそらく女性経験がなかった男という、真逆のキャラクターになりきってくれた。心から感心したよ。おそらく現在活躍している中で、アダムは最高のカメレオン俳優じゃないかな。


Q:アル・パチーノは日本語のセリフも上手でした。


リドリー:(日本語で)アリガトウ! 私が話す日本語はこれだけなので、日本の人からそう言ってもらって安心した(笑)。アルは日本語のセリフもしっかり練習して挑んでくれた。いずれにしても彼は映画の世界のアイコンだ。一緒に仕事ができて私の方こそ名誉に感じたよ。




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