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『ライダーズ・オブ・ジャスティス』アナス・トマス・イェンセン監督 仲間の俳優をイメージして脚本を書く喜び【Director’s Interview Vol.176】
脚本を書いている時間がいちばん楽しい
Q:『ライダーズ・オブ・ジャスティス』はハリウッドでのリメイクも発表されました。前例としては、あなたが脚本を書いた『アフター・ウェディング』(06)も『秘密への招待状』(19)としてリメイクされています。
イェンセン:ひとつの作品が、他の誰かに受け継がれ、新しい味付けがほどこされる。その瞬間を観られるのは幸せです。私が書いた脚本の場合は、自分が表現しきれなかった何かを発見することができます。『秘密への招待状』では私は何も口を出さず、別の作家による変換を楽しみました。(『ライダーズ・オブ・ジャスティス』のリメイクではイェンセンも脚本に参加の予定)
Q:過去のあなたの脚本作品では『ミフネ』(99)という、日本映画とリンクするものもありました。
イェンセン:もちろん黒澤明監督の作品は、子供時代に初めて観て以来、今も愛しています。ただ、デンマークの映画館では日本映画がそんなにたくさん上映されないんですよ。ここ数年はホラー映画がたまに公開されているくらい。私は基本的に映画はスクリーンで観ることにしてるので残念です。ここデンマークでは、最近は韓国映画の方が勢いがある印象ですね。
『ライダーズ・オブ・ジャスティス』© 2020 Zentropa Entertainments3 ApS & Zentropa Sweden AB.
Q:では最後に、あなたが映画作りのプロセスで最も幸せを感じるのは、どの部分なのか聞かせてください。
イェンセン:やはり脚本を書いている時間ですね。やりたいこと、書きたいことをすべて文字で表現できるからです。しかし撮影に入ると、予算が足りなくて完璧な表現ができない現実を知ることになります(笑)。編集の作業は、ある程度楽しいものの、複雑な思いも出てきて葛藤しますね。作品の意図どおりになった瞬間を見つけたらうれしいですが、失敗した部分を補う努力が強いられたりしますから。そうやって映画作りはだいたいが気が滅入る作業になっていくので、やはり書く作業が何より好きだと断言します。職業は何かと聞かれたら、ライターと答えたいですね。
Q:では本心では、つねに最高の脚本を書き続け、それを自分以外の有能な監督に託したいとか……。
イェンセン:自分の脚本を自分で監督すると、客観的な視点が欠如するリスクが生まれるでしょう。周囲の指摘に対して頑なにもなってしまう。たしかに理想を言えば、私の意図を正確に描くことができる監督に脚本を託したいです。そうなれば私は自宅でゆったりコーヒーでも飲みながら、完成作を待っていればいいわけですから(笑)。
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監督・脚本:アナス・トマス・イェンセン
1972年4月6日デンマーク・フレズレクスヴェアク出身。デンマークで最も有名な脚本家であり監督の一人。監督を手掛けた短編が1997年から3年連続でアカデミー賞短編映画賞へノミネートされ、『Valgaften(原題)』(98)が第71回アカデミー賞短編映画賞に輝く。2000年に『ブレイカウェイ』で長編監督デビューを果たす。その後、『フレッシュ・デリ』(03)、『アダムズ・アップル』(05)、『メン&チキン』(15)で監督・脚本を務めた。本作が長編監督5作目となる。また、スサンネ・ビア、ロネ・シェルフィグ、ソーレン・クラグ=ヤコブセン、ニコライ・アーセルほか様々な監督の作品の脚本を担当した。主な脚本を手掛けた作品は『ミフネ』(98)、『キング・イズ・アライヴ』(00)、『しあわせな孤独』(02)、『ある愛の風景』(04)、『アフター・ウェディング』(06)、『ある公爵夫人の生涯』(08)、『未来を生きる君たちへ』(10)、『真夜中のゆりかご』(14)、『悪党に粛清を』(15)、『ダークタワー』(17)、『ある人質 生還までの398日』(19)など。最新作としてアントニオ・バンデラス主演でフィレンツェの怪物事件を描くTVシリーズ「The Monster of Florence(原題)」の脚本を予定している。
取材・文: 斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。
『ライダーズ・オブ・ジャスティス』
2022年1月21日(金) より 新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
配給:クロックワークス
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