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『MIRRORLIAR FILMS Season2』柴咲コウ監督 包み込む優しさが社会全体にあるように【Director’s Interview Vol.181】

『MIRRORLIAR FILMS Season2』柴咲コウ監督 包み込む優しさが社会全体にあるように【Director’s Interview Vol.181】

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「だれでも映画を撮れる時代の幕が開く」年齢や性別、職業やジャンルに関係なく、メジャーとインディーズが融合した、自由で新しい映画製作に挑戦する「MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)」。そのSeason2の一編『巫.KANNAGI』を手掛けたのは、柴咲コウ監督。


普段は役者として映画撮影に対峙する柴咲だが、監督として入った現場では何が見えたのか? 脚本から撮影、編集に至るまで、作品完成への道程について、柴咲監督に話を伺った。



『巫.KANNAGI』あらすじ

4年前に父親を亡くした少女さなは、母親と慎ましくも幸せに暮らしていたが、ある日、2人の前に突然“メッセンジャー”が現れる。なぜ彼女は現れたのか・・・。貧困や孤立など現代社会に潜む闇が徐々に映し出されていく。



Index


カラスに込めたもの



Q:原案には北村龍平監督が参加されているとのことですが、脚本作りはどのように進められたのでしょうか?  


柴咲:脚本は一から自分でやりたかったのですが、当時は時間が取れない状況でした。それで親交のあった北村監督に相談をしたんです。北村さんがいくつかシチュエーション案を作ってくださり、それをベースに母と子の物語や社会問題を組み込んでいきました。脚本作りは難しかったですね。映画の表面には出てこない内容も、いろいろと計算して仕込む必要もある。結構時間がかかりました。


また、今回は時間軸をあえて限定せずに、観ている人に解釈を委ねる作りにしています。私たちは時間軸に縛られて生きているからこそ、そこから自由になれればという思いを込めました。夢の中では現実の世界から制限が解けて、昨日と今日が入れ替わったり、空を飛べたり、瞬間移動できたりしますよね。そういうことが映画の中で出来ればなと。今回の場合は社会問題がテーマにあったので、時間軸を変える程度でしたが、もしまた撮る機会があればその辺はもっと掘り下げたいです。



『MIRRORLIAR FILMS Season2』柴咲コウ監督


Q:劇中にはカラスが出てきて強い印象を残します。このアイデアはどこから来たのでしょうか? 


柴咲:客観的に人間を見ている存在が欲しかったんです。そこで、人間の身近にいるけど、そんなに交流していないカラスはどうかなと。私自身、カラスが好きなんですよね。都会のカラスはたくましく生きてるし、北海道のカラスはマイナス20度でも元気だし、なにより彼らは頭がいい。結構最初の段階から、カラスの絵コンテを細かく描いていました。


Q:カラスというと、最後には「夕焼け小焼け」の曲が流れます。


柴咲:そう、あれは絶対に使いたかった曲です。毎日夕方5時になると、どこからともなく「夕焼け小焼け」のチャイム音が聞こえてきますが、自分の心模様であの音色が変わるような気がしていました。これから暮れていく物悲しさを感じることもあるし、毎日訪れる普遍的な幸せと感じることもある。私にとっては、そのどちらも持っている音色でした。


私だけでもそうなら、このチャイムを聞いている人たちはみな、各々の心持ちで聞こえ方が違うのかなと。毎日5時の心模様のような、そういう感じを出せればと思いました。





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