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『ブルーサーマル』橘正紀監督 アニメは「全部描く」もの。だからこそリアリティに執着する【Director’s Interview Vol.189】

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『ブルーサーマル』橘正紀監督 アニメは「全部描く」もの。だからこそリアリティに執着する【Director’s Interview Vol.189】

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登場人物一人ひとりをプロファイリング



Q:今回の劇場版と原作を比較した際に、航空部の主将・倉持など、登場人物の言動がよりマイルドになった印象を受けました。その辺りの狙いを教えて下さい。


橘:原作を1本の映画にしていくなかで、今回は「主人公のたまきによって周囲の人物がどういう影響を受けて変わっていくのか」を軸にしていました。例えば倉持だったら、みんなの前ではリーダーとして胸を張らなければいけないけど、心の中には抱えているものがある。それがたまきとの関係性でどう変わるのか。それを見せるため、バランスをとった感じでしょうか。



『ブルーサーマル』© 2022「ブルーサーマル」製作委員会


たまきの姉・ちづるは、過去に引きずられて、たまきに突っかかってしまうキャラクターですが、どういう心理状態なんだろう?というのを整理しつつ作っていきました。モチベーションや原動力、何を考えているのかといった部分を一人ひとりプロファイリングしながら、悩みつつ紐解いていきましたね。あとはもう尺の問題で、倉持やちづるのことを描きすぎるとバランスが崩れてしまう。各キャラクターの立ち位置をまとめつつ、たまきを主人公として立てていきました。


やっぱり、観た後に爽やかな気持ちになる映画にしたかったんです。天真爛漫なたまきが、過去に嫌なことがあっても腐らずに一生懸命生きて、その結果倉持やちづるたちを浄化していく。自分の居場所を探し求めるたまきの素直な行動が、みんなを良い方向に引っ張っていき、それぞれを救う。観客の皆さんが「たまきっていい奴だな」と思えたら、映画を観た後に清々しい気持ちで劇場を出てきてくれるんじゃないかと思い、そういった狙いを持ってドラマを作っていきました。




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監督・脚本:橘正紀

1996年より演出助手としてキャリアをスタートさせ、Production I.G作品「攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズの演出や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(07)では絵コンテを担当した。着実に実績を重ね、初監督作品となった「東京マグニチュード8.0」(08)では第13回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。監督作品として「ばらかもん」(14)、「プリンセス・プリンシパル」(17)、映画『プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章』(21)などがある。



取材・文:SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema






『ブルーサーマル』

3/4(金)公開 配給:東映

© 2022「ブルーサーマル」製作委員会

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