©2022「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」製作委員会
『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』信友直子監督 偶然発見した映像によって結晶した21年間の記録【Director’s Interview Vol.196】
100歳を超えた父を撮り続ける
Q:これからも、お父さんを撮り続けていきますか?
(ここで信友監督のそばにいた父・良則さんが何やら歌を歌い出す・・・)※本インタビューは広島に帰省中の信友監督にzoomで実施。
信友:・・・・今、父は隣で何か歌ってますけどね(笑)。どうなるかわからないけれど、撮り続けます。撮っていなければ幻じゃないですか。いくら「こんなことがあってね」って口で説明しても映像がないと幻だから、撮るだけは撮ろうと思っています。
Q:せっかくなので、お父様からも一言いただけますか。映画が公開されるので、何かお客さんにメッセージを。
信友:(お父さんを隣に座らせながら)ここに座って・・・、耳が遠いからね。お父さん、「今度の映画でお父さんからお客さんに何かメッセージはありますか?」って。
父:・・・別にないのう。
一同:(笑)
信友:実は父はまだ映画を観ていないんです。今度、広島でのお披露目で初めて観るんです。(父に向かって)お母さんのね、元気な頃の映像がたくさん出てくる言うたじゃろ。映画の第2弾は楽しみですか?
父:そりゃ楽しみじゃわいのう(笑)。
『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』©2022「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」製作委員会
Q:101歳で、お元気でいらしてすごいですね。映画でのお父様の言葉に感動しました。
信友:(父に向って)良かったね。みんなにまた「お父さん、お父さん」って言ってもらえたらいいね。
映画を作ってよかったのは、父が呉で人気者になったことですね。外を歩いていると、いろんな人から声がかかるので、父もそれが張りになっている。映画の副産物として、そういうことがあったのも良かったと思います。
Q:長々とありがとうございました。
信友:本当に、ありがとうございました。
父:ありがとうございました。
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©萩庭桂太
監督・撮影・語り:信友直子
1961年広島県呉市生まれ。父・良則、母・文子のもとで育つ。1980年広島大学附属高校卒業。1984年東京大学文学部卒業。同年、森永製菓入社。広告部で社内コピーライターに。1986年制作会社テレパック入社。テレビ番組制作の道へ。1995年から制作会社フォーティーズへ。2009年自身の闘病を記録した「おっぱいと東京タワー~私の乳がん日記」を発表。ニューヨークフェスティバル銀賞・ギャラクシー賞奨励賞などを受賞。2010年独立してフリーディレクターに。主にフジテレビでドキュメンタリー番組を多く手掛ける。北朝鮮拉致問題やひきこもり、若年性認知症などの社会的なテーマや大道芸人ギリヤーク尼ヶ崎にスポットを当てた企画、草食男子の生態という文化的なテーマなど100本近くの番組を制作。2013年ごろから自身の父母を被写体として家庭内介護の様子を記録し始め、2016年、17年に「娘が撮った母の認知症」第1弾、第2弾としてフジテレビで放送される。これが大きな反響を呼び2017年「ぼけますから、よろしくお願いします~私の撮った母の認知症」としてまとめられBSフジで放送された。いずれも好評を博しそれが劇場公開へとつながった。2018年に『ぼけますから、よろしくお願いします。』で長編監督デビュー。全国99劇場10万人を動員する大ヒットとなる。令和元年の文化庁映画賞・文化記録映画大賞など数々の栄誉に輝く。
取材・文:稲垣哲也
TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)
『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』
2022年3月25日(金)より全国順次公開
配給・宣伝:アンプラグド
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