© MILITARY WIVES CHOIR FILM LTD 2019
『シング・ア・ソング!〜笑顔を咲かす歌声〜』ピーター・カッタネオ監督 “悲しみ”を映像で見せるのは難しい【Director’s Interview Vol.208】
選曲ポイントはアレンジで雰囲気が変わること
Q:出てくる曲は80年代が中心ですが、それだけに止まらず90年代(ロビー・ウィリアムズ、スパイスガールズ)や2000年代の曲(ダイド)も登場します。そこがリアリティもあり新鮮でした。
カッタネオ:脚本作りと並行して選曲をおこなったのですが、すごく楽しい作業でした。音楽のスーパーバイザーもいい曲をたくさん提案してくれましたが、Spotifyにもかなり助けられました。映画の内容にピッタリ合って皆の心に響くような、物語と歌詞が呼応している曲を意識して選びました。ポップソングの多くは「あなたのことを待っている」「あなたを恋しく思っている」といった内容の曲が多いんです。その点では選びやすかったですね。
映画の中で、80年代のニューロマンティックのような格好をしている写真が出てきますが、ちょうどその頃のポストパンクの時代の音楽が合うのではないかと思っていました。それでエレクトロな感じを意識して80年代の曲を探しました。合唱用にアレンジしたときに原曲から雰囲気が変わるような曲が良かったんです。そこは重要なポイントでした。特にエレクトロ系の曲はアレンジでかなり印象が変わってくるので、うまくハマったと思いますね。
『シング・ア・ソング!〜笑顔を咲かす歌声〜』© MILITARY WIVES CHOIR FILM LTD 2019
ヒューマン・リーグの曲も出てきますが、出演者たちは皆その曲を知っていたものの、実際に歌おうとすると歌詞が全部は出てこない。それでもあえてその状態で撮影しました。うっすら覚えている歌詞を勢いで歌うことで、彼女たちの心の叫びが出てすごくリアルな表現が撮れましたね。
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監督:ピーター・カッタネオ
イングランド出身。大ヒットコメディ『フル・モンティ』(97)でアカデミー賞監督賞にノミネートされ、『DEAR ROSIE(原題)』では最優秀短編映画賞にノミネートされた。その後の映画作品には『ラッキー・ブレイク』(00)、『ポビーとディンガン』(05)、『ROCKER 40歳のロック☆デビュー』(08)がある他、最近の作品では、トム・ホランダーとオリヴィア・コールマンが主演し、BAFTAでも複数の賞を受賞したBBCのコメディ『REV(原題)』全3シリーズを手がけた。さらに、批評家に絶賛されたピーター・ボウカー脚本によるBBCの『THE A WORD(原題)』を監督した他、コマーシャル監督としても活躍している。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『シング・ア・ソング!〜笑顔を咲かす歌声〜』
5月20日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国順次公開
配給:キノフィルムズ
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