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『エルヴィス』オースティン・バトラー 友人に絶対エルヴィスを演じるべきと直訴された 【Actor’s Interview Vol.22】

(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

『エルヴィス』オースティン・バトラー 友人に絶対エルヴィスを演じるべきと直訴された 【Actor’s Interview Vol.22】

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「レジェンド」として語り継がれる存在を、これまで何度も映画は甦らせてきた。しかしその存在がビッグであればあるほど、再現のハードルは高くなる。エルヴィス・プレスリー役で、そんな最難関のチャレンジをこなし、成功させたのがオースティン・バトラーだ。ステージ上のパフォーマンスは、生前のエルヴィスがのりうつったかのようだ。オースティンはクエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)でマンソンファミリーの一人を演じていたので、その顔には見覚えがあるかもしれない。しかし今回のエルヴィス役は大抜擢と言っていい。キャスティングの経緯や大役に挑んだ思い、そして俳優としてのポリシーなどを聞いた。


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亡き母への愛を込めた歌が監督の心も動かす



Q:『エルヴィス』の映画が作られると知って、主役を演じたいと思い立ったのでしょうか?


オースティン:映画の企画を知ったのは2019年の2月です。じつはその前年のクリスマスの頃、友人とロサンゼルスをドライブしていたとき、車内でエルヴィスのクリスマスソングが流れてきました。友人は何かひらめいたような表情で僕の腕をつかむと「君はいつかエルヴィスを演じるべきだ」なんて言うのです。僕はその言葉を軽く受け流しましたが、数週間後、家でその友達の前でピアノの弾き語りをしたら、やはり「どうにか権利を手に入れてでもエルヴィスを演じてくれ」と再び懇願されました。それから数日後、バズ・ラーマン監督がエルヴィスの映画を撮ると知り、惑星が直列で結ばれたような運命を感じたのです。


Q:エルヴィス役への熱意が急激に湧き上がったのですね。


オースティン:そこからリサーチに没頭しました。絶対に起用されると信じて(笑)。手に入る限りのドキュメンタリーを観て、本を読み漁り、満を持してエルヴィスの歌を歌ったビデオを(バズら製作陣に)送ることになったのです。



『エルヴィス』(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved


Q:何を歌ったのですか?


オースティン:最初は「ラブ・ミー・テンダー」を送ろうとしました。でも録画を観直したら、ただの物真似みたいだと感じたので「アンチェインド・メロディ」に変更しました。リサーチの過程でエルヴィスが23歳で母親を亡くしたことを知ったのですが、じつは僕も同じ23歳で母を亡くしており、シンパシーを感じていたのです。ある日、(まだ生きている)母が死にそうになる悪夢にうなされ、最悪な気分で目が覚め、その気持ちを何かにぶつけたくて「アンチェインド・メロディ」を歌ってみました。恋愛を歌った曲ですが、僕は歌詞を母に向けて歌い、それを録画したわけです。歌っている最中、エルヴィスに似せようなんて一切考えず、溢れ出る感情を音楽に注いだのが良かったのかもしれません。バズがこのビデオを観て、僕に会ってくれることになりました。


Q:そこから役が決まるまで、どんなプロセスがあったのですか?


オースティン:ロサンゼルスから、バズの待つニューヨークへ向かいました。最初の日は、エルヴィスや彼の人生について3時間くらい話しました。そこから、どうやって一緒に映画を作っていけるかを話す、長いプロセスが始まったのです。「台本を読みに来てほしい」、「明日、ここに来て数曲歌ってくれないか?」と呼ばれ、エルヴィスの人生を掘り下げたり、年代による彼の歌声の変化を僕の声でどう表現するか模索したりと、気づけば5ヶ月が過ぎていました。最終的に公式のスクリーンテストを行って起用が決まったのですが、過去に例のない経験になりましたね。





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