Ⓒ2021TEXAS PET SOUNDS PRODUCTIONS, LLC
『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』ブレント・ウィルソン監督 多くの苦しみと悲しみを抱え、それでもなお生き続ける天才アーティストの姿を見て欲しい【Director’s Interview Vol.231】
現役のアーティスト、ブライアンが伝えるものとは?
Q:ブライアンは、この映画についてどんな感想を?
ウィルソン:この映画を彼に見せることについて、私はナーバスになっていた。彼がどう感じるかは想像もつかなかったからね。気に入ってもらえないかもしれないという不安もあった。でも彼は、この映画を作ることは楽しかった“と言ってくれた。さらに、“この映画には素晴らしい音楽もたくさん詰まっているじゃないか!”ともね。この言葉を聞いて、初めて私はブライアンがこの映画を気に入ってくれたと理解し、ホッとしたよ。自分が作った音楽を、自分が改めて好きだというのは素晴らしいことだ。ブライアンのような人にとっては音楽がすべてだからね。
『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』Ⓒ2021TEXAS PET SOUNDS PRODUCTIONS, LLC
Q:日本の観客にここを見て欲しいという部分はありますか?
ウィルソン:あらゆる経験をしてきた人間に共鳴して欲しい。本作では、さまざまな苦しみと格闘しながら、日々前に進もうとしている人間の姿を見ることができる。この映画を見た、心の病を抱える多くの人から、毎日のようにメールが届いているけれど、彼らはブライアンの姿に勇気づけられたと語っているんだ。ブライアンはアーティストとしても、ひとりの人間としてつねに動き続けている。それこそが、この映画のスピリットだ。
生きることは苦しいし、悲しみに満ちている。長く生きれば生きるほど、多くの別離に直面する。それでも、命ある限り、人は生き続ける。『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』は、その苦渋を創作に転化する、ひとりのアーティストの毅然とした姿をとらえている。それは音楽ドキュメンタリーを超えて、ブライアンを知らない観客の心をも揺さぶるに違いない。
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監督:ブレント・ウィルソン
ブレント・ウィルソン(ブライアン・ウィルソンとの血縁関係はない)は、25年以上にわたる映画監督としてのキャリアの中で、本作以外にも、数多くの作品に情熱を傾けてきた。彼の代表的な作品には、受賞に輝いた第二次世界大戦のドキュメンタリー、『A Gathering of Heroes: The Last Reunion(原題)』、念願のドゥーワップ音楽へのオマージュ作品、『Streetlight Harmonies(原題)』などがある。
取材・文:相馬学
情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。
『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』
8/12(金)、TOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国公開
配給:パルコ、ユニバーサル映画
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