自分たちで極めたアクション
Q:伊能さんにお伺いします。今回もキレキレのアクションが炸裂しています。格闘技経験は長いようですが演技としてのアクションはどうやって学ばれたのでしょうか?
伊能:アクションをやっている方の多くは、スクールに通ったり、アクション監督について学んだりされていると思いますが、僕はそういうことはなくて、現場に出る度その場で勉強しています。アクションをやっている他の俳優と集まって、お互いの動画を撮って一緒に見ることもたまにありますが、アクションの基礎みたいなことはほぼやってないですね。
Q:我流とは思えないほど素晴らしいアクションですが、1作目の『最強殺し屋伝説国岡』を撮った際はアクション監督は入っていたのでしょうか?
阪元:あの作品は100%インディーズなので、入ってないですね。僕らだけでやりました。先ほど伊能も言っていましたが、僕と伊能とスタッフの3人だけで、京都のいろんなところを巡ってカメラ一つで撮っていました。
『グリーンバレット』©2022「グリーンバレット」製作委員会
Q:カフェのシーンなどで結構なアクションがありますが、あの辺も皆さんだけでやったのでしょうか。
阪元:そうですね。あのシーンは…、(伊能さんを向いて)しかも現場で振り付けたよな?
伊能:そう。1時間ちょっとくらい時間が余ったので、共演してくれた田中俊介さんに「ちょっと良ければ」とお願いして、格闘シーンをその場で追加しました。
阪元:その場でやった割には意外とスムースにいったよね。あのシーンはどんどん人が死ぬし結構大変かなと思ったけど、エキストラのみんなもテンション高くて余裕で撮れた(笑)。
Q:あれだけのアクションを自分たちだけで撮ったとはすごいですね。驚きました。
阪元:今思えばそうですね、すごいですね(笑)。
Q:一方で『ある用務員』の方は全然トーンが違いますが、その時のアクションはどのように撮れらたのでしょうか?
阪元:あれは規模も違ってスタントコーディネーターもいましたが、やっぱり事前のアクション打合せなどはなくて、現場で振り付けた感じでしたね。
伊能:そう。現場付けのアクションでした。
阪元:事前にアクション打合せをガチガチにやったのは、『黄龍の村』と『ベイビーわるきゅーれ』と、この『グリーンバレット』ですね。
『ある用務員』予告
Q:『ある用務員』と『ベイビーわるきゅーれ』『国岡シリーズ』では、トーンや方向性、ノリも違います。どちらかと言えば前者は真面目で後者は真面目じゃないイメージもありますが、どちらの方向が好きでやりたかったりしますか?
阪元:まぁ『国岡』はあんまり真面目じゃないっすよね(笑)。
伊能:でもやりたいのはこっちだったりしますね。
阪元:『国岡』は予算も無いなかで「オモロイもん作ろう!」ってやった結果、ああやってカメラ一つで3人で京都を巡って撮っていった。もちろん莫大な予算があれば、ちゃんと真面目なアクションも撮りたいなと思いつつも、でもそれが果たしてそれがウケるのかなと…。そう考えると、今は『ベイビーわるきゅーれ』や『最強殺し屋伝説国岡』みたいに、笑えて楽しくスッキリ終わる方が「まぁなんか、いいんちゃう?」とは思っています。
Q:その志向がありつつも、『ある用務員』のようなハイクオリティなアクションが撮れるのもすごいなと。手練れの監督が撮ったくらいの内容だったと思います。
阪元:手練れの監督(笑)。
Q:『ある用務員』で福士誠治さんと般若さんがダーツバーで話すところなど、何気ないシーンですが撮り方や編集が上手いなと感じました。
阪元:まぁ確かに、そう言われると同じ監督とは思えない感じはありますね(笑)。『グリ―ンバレット』と比べると、『ある用務員』は結構真面目モードで撮りました。