『スースク』が好きで撮った映画です!
Q:お二人の出会いは京都造形芸術大学の映画学科だと思いますが、アクション映画を撮ろうと意気投合して一緒に映画を作るようになったのでしょうか?
阪元:アクションをやりたかったんですけど、最初はどう撮ればいいか分からなかった。学校内で誰がアクションをできるかも分からなかったので、3年間くらいはずっと模索してましたね。
伊能:僕も阪元とは別の場所でアクション映画をやろうとしてましたが、失敗も多くてやっぱり難しいなと思ってました。
阪元:確かに『ベー。』(17)ですらアクションって感じじゃなかったもんな。
伊能:うん、むしろバイオレンスって言われそうな感じやったね。
阪元:『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』はそれまでと特に変わったことはしてないのに、なぜか成功できた。それまでは『スロータージャップ』(17)や『ハングマンズ・ノット』(17)でも、ナイフバトルとか銃の撃ち合いを模索しながらやっていて、やっと『国岡』で「アクション映画です!」と胸を張って言えるようになった感じでした。
Q:学生で撮っていても伊能さんみたいな逸材にはなかなか出会えないですよね。
阪元:自主映画って話が面白い作品なんていくらでもあるので、役者が面白いかどうかにかかってますよね。その意味では伊能くんや松本卓也くんに出会えたのはデカかったですね。
Q:では最後に、影響を受けた映画や監督について教えてください。
阪元:『ヒート』(95)とか好きですね。
伊能:ずっと好きなのがウィル・スミスの『アイ, ロボット』(04)なんですけど、特に影響を受けてる気はしないので、他を探しますね(笑)。先日『エンド・オブ・ホワイトハウス』(13)を観ていて気付いたのですが、俺は多分あのシリーズを意識してますね。ジェラルド・バトラーが主人公なのですが、二人ぐらいガンガン殺した後に普通に喋り出すんですよ。そこは「あ、これ絶対好きだったんだな」て思いました。
阪元:確かに主人公はちょっと怖いもんね。まるで鬼神(笑)。
伊能:どうやっても敵側の人にしか見えない。
阪元:そういうの面白いよね。そうそう『イコライザー』(14)とかも好きですね。
伊能:『ジョン・ウィック』(14)もそうなるし、『ザ・レイド』(11)もやな。
阪元:影響と言えば『ザ・レイド』かもしれないですね。あと『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(21)とかも、この映画は『グリーンバレット』には影響してますね。
『グリーンバレット』©2022「グリーンバレット」製作委員会
伊能:ポスターもまさに。「僕これがイイです!」って二丁拳銃のポーズやったら、普通に採用されてて良かったです。
阪元:あ、そうですね。これスースクですもん。サメもいますし(笑)。
Q:確かにサメもいる!
阪元:そうなんですよ。『グリーンバレット』はスースクが好きで撮った映画です!
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監督・脚本:阪元裕吾
1996年1月18日 京都府出身。国内外の映画祭で賞を受賞、日本映画界の新星として今最も注目されている。20歳で発表した殺人を趣味にするカップルを描いた『ベー。』にはじまり、サイコ殺人鬼と凶暴兄弟の対決を描いたウルトラバイオレンス映画『ハングマンズ・ノット』、パン屋を舞台にした短編ブラックコメディ『ぱん。』(辻凪子と共同監督)等 大学在学中から圧倒的な暴力描写で自主映画界を席巻。商業デビュー作となった『ファミリー☆ウォーズ』は実際に起こった事件からインスパイアされたオリジナル・バイオレンス作品。近年は、バイオレンス路線からフェイクドキュメンタリータッチでフリーの殺し屋たちの生き方を描いた『最強殺し屋伝説国岡』や、女子二人の殺し屋が共同生活をしながら、ゆるい日常と圧倒的なアクションの緩急にリピーターが続出した『ベイビーわるきゅーれ』など、独自の世界観を拡張し続けている。
伊能昌幸
1995年10月18日 熊本県出身。特技:アクション、ボクシング10年、キックボクシング、太道、ムエタイ、柔術。京都造形芸術大学映画学科制作コース卒業。出演作に、『ベー。』(16)『スロータージャップ』(17)『ファミリー☆ウォーズ』(18)『最強殺し屋伝説国岡』(18)『ある用務員』(21)など阪元監督作品出演が多く、欠かせない俳優となっている。
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『グリーンバレット』
8月26日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
配給:ラビットハウス
©2022「グリーンバレット」製作委員会