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『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』16人のヴィランに見る、史上最もピュアなジェームズ・ガン

(C) 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』16人のヴィランに見る、史上最もピュアなジェームズ・ガン

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 「荒唐無稽」の四文字ほど、映画監督ジェームズ・ガンの作品を的確に表せる言葉はないだろう。単独監督デビュー作『スリザー』(06)から、おなじみ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズまで、突飛な設定と、観客の予想を裏切る展開のつるべ打ちは、いわば彼の得意技。近年はファミリー・フレンドリーな作風も自在に操るが、初期作品は下劣なユーモアとグロテスクの融合が最大の特徴だった。


 マーベルからDCコミックスへの“電撃移籍”による最新作『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(21)も、やはり「荒唐無稽」な一本だ。マーベル以前の作風に回帰し、手加減なしの表現で描かれるのは、あまりにも個性たっぷりのヴィランたち。“悪党集団”が決死の大作戦に挑む本作では、キャラクターがすべての鍵を握っている。


『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』予告


 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で寄せ集めのヒーローチームを鮮やかに組み立てたジェームズ・ガンは、同じく“寄せ集め”であるヴィランチームをどう料理したのか? まずは、「スーパーマンを半殺しにした男」から見ていくことにしよう。


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ブラッドスポート/ラットキャッチャー2



 ワーナー・ブラザース/DCコミックスから「好きなキャラクターを使っていい」との許可を得たガンは、デヴィッド・エアー監督による『スーサイド・スクワッド』(16)の人選を一部継承しつつ、多くの新キャストを迎えて最強の布陣を結成した。ただしDCコミックス史の中では、異色のキャラクターが多数並ぶことにもなっている。


 予告編で「スーパーマンを半殺しにした男」と紹介されるブラッドスポート/ロバート・デュボワは、優れた戦闘能力とハイテクのスーツを着用した傭兵。演じるのは『マイティ・ソー』シリーズのヘイムダル役や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(19)も記憶に新しいイドリス・エルバだ。


 イドリス自身、DCコミックスの歴史を遡って予習したというブラッドスポートは、1987年に「スーパーマン」誌に登場。ベトナム戦争の兵役を逃れたところ、代わりに戦地へ向かった弟が戦場で四肢を失い、その罪悪感に耐えながら生きているという設定だ。レックス・ルーサーに雇われたのち、クリプトナイトの銃弾をスーパーマンに撃ち込んで「半殺し」にしたというエピソードは、コミックに登場するものである。


 興味深いのは、イドリスが『ザ・スーサイド・スクワッド』にキャスティングされた当時、ガンが役どころを決めていなかったことだ。最初に設定だけが決まっており、後からブラッドスポートというキャラクターを当てはめたのである。それゆえだろうか、コミックのハードな背景は映画版では別のものに置き換えられている。

 

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(C) 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics


 結果としてブラッドスポートは、ストーリーのエモーショナルな側面を担うキャラクターとなった。核となるのは、ストーム・リード演じる娘・タイラとの関係性。そこに深く関わってくるのが、ダニエラ・メルシオール演じるラットキャッチャー2である。


 「バットマン」誌のヴィランを基に生み出された、オリジナルキャラクターであるラットキャッチャー2は、父親のラットキャッチャー(タイカ・ワイティティ)を亡くしたのち、ポルトガルからアメリカに渡ってきた若き新米犯罪者。演じるメルシオール自身もポルトガル出身の新進女優で、今回が初めてのハリウッド映画出演となった。


 コミックのラットキャッチャーはネズミを自在に操り、ガスを武器として扱うヴィランだが、ラットキャッチャー2は主にネズミのセバスチャンを操ることで戦う。しかし、曲者中の曲者ばかりのスーサイド・スクワッドにおいて、まだ若い彼女は右も左も分かっていないも同然。おまけに、いつも眠そうにしている……。


 そんな彼女を戦場で強力にサポートするのが、娘と離ればなれになっているブラッドスポートなのだ。二人が築いていく関係性は、ジェームズ・ガン作品の多くに共通する“家族・疑似家族”の要素に通じるもの。『ザ・スーサイド・スクワッド』では、極限の任務という過酷な状況下で絆が深まっていくことになる。





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