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『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』16人のヴィランに見る、史上最もピュアなジェームズ・ガン

(C) 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』16人のヴィランに見る、史上最もピュアなジェームズ・ガン

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キング・シャーク/ウィーゼル/サバント/シンカー



 『ザ・スーサイド・スクワッド』でとりわけ強烈なインパクトを与えるのは、映画界のレジェンドたるシルベスター・スタローンが声優を務める、キング・シャーク。コミックには1994年に初登場した比較的歴史の浅いヴィランだが、そのオリジンは“サメの王”たるシャーク・ゴッドの息子とも、また遺伝子実験によって誕生したとも言われている。


 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズや『スクービー・ドゥー』シリーズ(脚本)などで動物のキャラクターを愛らしく描いてきたガンは、キング・シャークも同様のアプローチで映像化した。二足歩行の凶暴な人喰いザメという設定ながら、人間味(サメだけど)にあふれ、ユーモラスでどこか切なさもある。スタローンの台詞回しも絶妙だ。モーション・キャプチャーを担当したのは、ガンと親交の深いスティーブ・エイジー。本人はアマンダ・ウォラーの部下ジョン・エコノモス役も演じている(予告編で「ヤベー怪獣が出てきましたぞ」と口走っている人)。

 

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(C) 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics


 一方、ガンが“かわいくない動物”路線に振り切ったのがイタチのウィーゼルである。系統としては『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のロケットに近いはずだが、こちらはキング・シャークと同じく人間サイズで二足歩行、ギョロリとした眼に長い舌など、ロケットとは程遠い不気味さ。そもそも周囲と意思の疎通を取れるのかどうかもわからないが、司令を受けて任務に参戦する。


 1985年のコミック初登場時、ウィーゼルはイタチの着ぐるみをかぶった教師の設定だった。のちに、より獣人らしくなって再登場したが、ガンは「イタチそのもの」という設定に改変している。モーション・キャプチャーを担当したのは、ガン監督の実弟であり、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の撮影現場で、ロケット役を演じるショーン・ガン。本人は「バットマン」誌のヴィランであるカレンダーマン役としても登場する。


 作品に厚みをもたらすバイプレーヤーにも注目しよう。ガン作品の常連者マイケル・ルーカーは、サバント役として冒頭から“いつもと違う”存在感を発揮。コミックのサバントは、ゴッサムシティのヴィジランテを自称するもバットマンに警告され、PCスキルを活かして恐喝犯に転職した男だが、ガンはこの美味しい設定を変更。あえてルーカーに「戦闘のエキスパート」という役どころを振ったが、サラサラのロングヘアも、戦闘能力も、ルーカーの魅力が活きる見せ場も、さすがはガン&ルーカーのタッグだと舌を巻くはず。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ヨンドゥ役以来のコミック映画、その活躍ぶりに刮目せよ。


 スーサイド・スクワッドの任務に関わる天才科学者・シンカーの個性も強烈だ。1943年にコミックに登場し、ヴィランチーム「インジャスティス・ソサエティ」の一員ともなったシンカーは、本作のストーリーのカギを握る“邪悪な天才”。本作ではストーリーのカギを握る人物として登場する。演じるのは、「ドクター・フー」の12代目ドクター役や『パディントン』シリーズで知られるピーター・キャパルディ。彼はコミックを熟読して予習に励んだという。





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