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『ヘルドッグス』原田眞人監督 念願の潜入捜査バイオレンス映画はいかにして生まれたか?【Director’s Interview Vol.237】

©2022「ヘルドッグス」製作委員会

『ヘルドッグス』原田眞人監督 念願の潜入捜査バイオレンス映画はいかにして生まれたか?【Director’s Interview Vol.237】

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男たちの関係をセクシーに描く



Q:兼高は殺しも厭わないダークなキャラで、岡田さんが演じる役としてはかなり衝撃的でした。


原田:ダーティーでセクシーというね。岡田さんとは、『燃えよ剣』の土方歳三より一歩も二歩もセックスアピールがある方に持っていこうと話をしました。


Q:兼高と室岡の関係は男同士の恋愛にも見え、監督がおっしゃるセクシーさを感じます。


原田:同性愛ではないけれど、男同士のラブストーリーなんだ、という感覚は理解してもらえました。あからさまに表現せず匂わせる世界。男の友情、師匠と弟子の関係、そういったものの微妙な組み合わせでやってほしいと伝えました。そのあたりは脚本を読んですごく理解してくれて、2人とも楽しんでやってくれました。あと、撮影の準備で岡田さんが坂口さんにアクションを指導したことで、身体ができていった。だから冒頭のシーンでも、2人が実際にアクションの練習でやっていたようなことをカメラの前でやってもらいました。その時の素の会話みたいなものも活かすことでプラスに働きました。


Q:兼高と室岡が寝技のトレーニングするシーンは、お2人の役作りのトレーニングそのものだったんですね。


原田:あれは、撮影まで1年かけて彼らがやってきたことそのままですね。岡田さんには坂口さんにまだ教えていない技を、カメラの前で教えてほしいと伝えました。「その技は知らないから覚えたい!」って室岡が言うでしょ?あれは実際に、あのテクニックをそこで初めて教わっているから出たセリフなんです。



『ヘルドッグス』©2022「ヘルドッグス」製作委員会


Q:ボスである十朱を演じたMIYAVIさんの存在感もとても印象に残りました。MIYAVIさんのキャスティングは監督からのリクエストだったんですか?


原田:『不屈の男 アンブロークン』(14)を観たときに、それまで彼を知らなかったんですが「すごくいい役者さんだな」と思って、それ以来ずっと注目していたんです。岡田さんが兼高をやるとして、十朱役はそれ以上のセックスアピールと凄みがなきゃいけないと、原作を読んだ時に思いました。それで最初に思い浮かんだのがMIYAVIさんでした。彼が出演してくれて本当によかったです。


Q:十朱は非常にエキセントリックなキャラクターで、リアルさに関しては危うい面もありますが、ギリギリのバランスでうまく成立していると感じました。


原田:MIYAVIさんが演じることで劇画的になってしまうリスクはあったかも知れません。でも実際にご本人と話してみると、とてもインテリジェンスがあって、いろんな世界観を持った人たちと交流している。あと実際にキックボクシングもやっているんです。だから普通なら、劇中の十朱のような前髪が垂れ下がっているような髪型は採用しないんですが、ヘアスタイリストがそれを提案してきた時に「MIYAVIさんだったら、似合うからいいんじゃないか」と思って採用しました。あと、衣装に関しても普通の極道に二枚も三枚も上乗せしたようなオシャレな感覚。一番格好いいところへ行こうよ、という感じにして、結果全部がプラスの方向に働いたと思います。




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