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「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」シーズン2 オダギリジョー監督 俳優だからこそ可能になる演出とは【Director’s Interview Vol.246】

「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」シーズン2 オダギリジョー監督 俳優だからこそ可能になる演出とは【Director’s Interview Vol.246】

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俳優だからこそ可能な演出



Q:オダギリさん自身が役者だからこそできる演出や演技指導はあるのでしょうか。役者の皆さんとはどのようなことを話されましたか。


オダギリ:お話しした通り、この現場にはいい俳優しかいないんです(笑)。ちゃんと脚本が読める人たちが集まってるし、間違った捉え方をする人は来ていない。だからもうキャスティングの時点で演出はほとんど終わっているようなもので、特に現場でそれ以上やることはないんです。リハーサルでも俳優さんには特に何も伝えずやってもらいますが、それで全く違うことをする人はまずいません。


もちろん自分の書いた脚本なので、こうしてほしいというのは明確にありますが、ここで細かく調整し出すと今度は芝居がそれに振り回されちゃう。監督から言われたことをなぞっていくだけになってしまうんです。そうなると、いい芝居から離れていくだけでしかない。俳優としての経験からそれはやりたくないと思っているんです。ただ今回は麻生さんだけには細かい芝居をつけました。麻生さん演じる漆原は笑いをつくる役どころだし、僕自身あの人の能力の高さをよく知っているので、どのくらいまで言っても大丈夫かが分かっているから。それ以外の人は芝居の自由度を狭めない範囲でニュアンスを伝える程度でした。


あとは俳優の性格にもよりますね。全く説明しないほうがいい人もいれば、細かく説明した方がいい人もいる。「ちゃんと見てますよ」ってアピールしてあげたほうがいい人もいます。そこは僕が俳優だからこそ分かるのですが、それも良し悪しなんです。俳優が今何をしたいかとか、「あ、今自分ではうまくいってると思ってるな」とか(笑)、「もうワンテイクはやりたくなさそうだな」とか、俳優が考えてることが手にとるように全部わかっちゃうので、監督としては難しいところですね。



ドラマ10『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』シーズン2 Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation). All rights reserved


Q:なるほど。逆に難しいんですね。


オダギリ:そうですね。本人は嫌がっているけど監督としてはもう1回やってほしい。それをどうテンションを下げずにもう1回やってもらうか、その辺の言い方を考えなければならない。気持ちが分かるからこそ難しいですよね。逆に「うわ、(本人は)すっごいできてると思ってるけど全然できてない!」とかの場合もあるので(笑)、その辺も優しく方向を変えなきゃいけない。わかるが故の苦しみですね。


Q:俳優としてのオダギリさんは相当数の監督とお仕事されていて、しかも若手から巨匠まで面白い映画を撮る人たちばかりです。そこから培ったものは自分が監督をする際に活かされていますか?


オダギリ:いやもう、めちゃめちゃそのおかげだと思ってます。今まで何人の方の現場を見たかわかりませんが、その人それぞれの方法論やスタイルを間近で見させていただいたので、いろんな人のいいところを寄せ集めてると思います。でも一方で悪いところも分かる。そこはそこで、そういうものはもらわないようにしてきました(笑)。おかげさまで今まで仕事をしてきた監督たちからいろいろ勉強させてもらいました。ただ、脚本や編集は教えてもらえないので、そこはあくまで我流ですけどね。





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