必然だったオールスターキャスト
Q:オールスターキャストはこのドラマの特徴の一つですが、これは意図せずなったのでしょうか?
オダギリ:僕が信頼する好きな俳優をキャスティングしたらこうなっちゃった感じですね。自分の大切な作品なので、俳優としてちゃんと力がある人、同業者として信用できる人じゃないと呼びたくない。人気があるとかフォロワーの数が多いとか、そういうのではお願いできないんです。
また、もしこれが映画の限られた制作費だった場合、あのキャストを集めるのは無理ですね。そこはやっぱりNHKの強みです。NHKはギャラが決められていますから、皆さん手弁当で参加してくれているんです。そこは申し訳ないと思いながらも、その気持ちが嬉しいですし、NHKだからこその奇跡的なキャスティングと言えると思います。
ドラマ10『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』シーズン2 Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation). All rights reserved
Q:個人的な印象ですが、ウェス・アンダーソンの『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』を観ていたときに「オリバーな犬」を思い出しました。オールスターキャストもそうですが、その人たちを使った話の広げ方に同じものを感じる。俳優が企画や監督に賛同して参加している点も共通するのではと思いました。
オダギリ:いやいやいや、そんな恐縮です。なんでしょうね。俳優としてもスタッフとしても、今の時代のものづくりの窮屈さみたいなのを日々感じていると思うんです。表現の幅がどんどん狭くなっている中で「オリバーな犬」みたいな脚本が届くと、「今こんなことやろうとしてるやつがいるんだ」って、喜びを感じてもらえてるんだとしたら嬉しいですね。だからこそ、ものづくりをしたい人たちが本領を発揮できるいい現場なんじゃないかなと。
有名になりたいとかお金が欲しいという俳優には、この作品は向かないかもしれませんが、ものづくりやチャレンジ精神とかそういうことに興味を持ってくれてる人にはすごく刺さる作品だと思います。だから集まってくれたんじゃないですかね。