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『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』故きをたずね、新しきを知る。ウェス・アンダーソンが魅せた作家性の再構築

(C) 2021 20th Century Studios. All rights reserved.

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』故きをたずね、新しきを知る。ウェス・アンダーソンが魅せた作家性の再構築

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ウェスらしい“懐かしさ”と“新しさ”が混合した作品



 作家性。小説家や芸術家、音楽家に映画監督……。名を成したクリエイターたちの“スタイル”、或いは“色”に対して、我々はこの言葉を用いる。それが個人の美意識によるものもあれば、映画監督のように美術監督や撮影監督、脚本家等を含めた“チーム”で作家性を構築している場合もあろう。質感や色彩感覚、構図といったビジュアル面だけではなく、死生観や感情描写、言葉選びといった内面においても、作家性は存在するものだ。


 1月28日に新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』が日本公開を迎えるウェス・アンダーソン監督は、まさに作家性の塊といっていい。彼の名前を聞いただけで、シンメトリーを基調とした画面構成、平行移動するカメラ、ミントグリーンやスモーキーピンクに代表されるカラフルな色使い、ミニチュア感ある建物の撮り方等々、代表作の一つ『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)のイメージがすぐ浮かぶのではないだろうか。


『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』予告


 最新作も、『ダージリン急行』(07)以来タッグを組むプロダクション・デザイナー、アダム・ストックハウゼンや『ライフ・アクアティック』(04)から共闘してきた衣装デザイナー、ミレーナ・カノネロ、『ファンタスティック Mr.FOX』(09)をはじめ、ウェス作品に欠かせない作曲家アレクサンドル・デスプラ、編集技師のアンドリュー・ワイスブラム、キャストにもオーウェン・ウィルソンやエイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントンといったおなじみの面々が集結。


 スタッフ・キャストの並びを見た時点で、『犬ヶ島』(18)以来約4年ぶり、実写映画としては『グランド・ブダペスト・ホテル』以来約8年ぶりの“ウェス組”の帰還に、胸を躍らせる方も少なくないだろう。ただ本作は、従来のスタイル――作家性という“懐かしさ”を感じさせる部分と、これまでとは一味違う“新しさ”が際立つ部分の両方が入り混じった、得も言われぬ風合いの作品に仕上がっている。


 スペインで撮影された次回作『Asteroid City(原題)』を観てみるまでは断言はできないものの、ウェス・アンダーソン監督のフィルモグラフィにおいて、分水嶺となる可能性を秘めた1本なのだ。それは今後、彼の作家性に新たな要素が加わるかもしれない、ということでもある。


 本稿では、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』に漂う“懐かしさ”と“新しさ”を紐解きつつ、ウェス作品における位置づけを考えていきたい。




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