編集を踏まえた撮影方法
Q:編集についても聞かせてください。撮影時には編集で色々試せるようにパターンを多く撮られるのでしょうか。それとも編集の“つなぎ”を想定した上で決め打ちで撮っているのでしょうか?
オダギリ:シーンによっても違いますが両方ありますね。いつもカット割りは全部作るんです。それを前日にスタッフの皆さんに渡して、基本的にはそのとおりに撮影は進みます。ただ、撮影中にすごく“画”がいいなと思ったカットに関しては、「このカットはマスターショットとして最初から最後まで全部ください」と一連でも撮影させてもらいます。編集をやっていると自分が作ったカット割りが全然成立しない事が発覚するので、編集ではどんどん手を加える必要がある。だからやっぱり素材は集めておかなきゃいけない。それでいつも前後は長めに回しますし、ちょっと多めに撮っちゃってますね。
また特別版の可能性も考えて、映画的なマスターを抑えておこうという気持ちがあります。何度も言いますが、ワンシーン·ワンカットでいけるのがベストだと思っていますが、オンエア尺の問題でなかなか実現できない。でも特別版だと実現できる可能性もある。だから現場で多少時間はかかるにしても、マスターショットを1本は必ず撮るようにしています。
ただ同時に、ここは絶対編集で落とすという箇所も分かるので、そこの撮影はあまりこだわらなかったり、多少タイミングがずれても良しとしたりします。だからどうでしょうね、時間がかかることもあれば、不要だと分かる部分はこだわらなかったりもするので、結局はプラマイゼロなのかなと。
ドラマ10『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』シーズン2 Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation). All rights reserved
Q:前回の取材時にも特別編の存在を教えていただきましたが、今回はついにそれが放送されました。実際にはどのようなところが変わっていたのでしょうか。
オダギリ:今言ったように、ワンシーン·ワンカットに戻した箇所がいくつかあります。また、通常版はオンエア尺に合わせるためセリフをガンガン切ってるんです。そうやって芝居を切ってしまったところを戻したりしました。当然その場合はカット割りが変わってくるので、そこを改めて作り直したり…。そんなこんなでいろいろと変わってはいますが、僕が見返してもそれほど全体の印象は変わらなかった。だから気付かない人は気付かないかもしれません。でも尺的には結構延びていて3話とかは多分10分ぐらい延びています。見応えを感じてもらえてたらいいですね。