『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』セドリック・ル・ギャロ&マキシム・ゴヴァール監督 LGBTQ+を描いた映画に当事者性は必要か【Director’s Interview Vol.251】
コンビで映画を作ること
Q:ちょうど脚本の話題が出ましたが、おふたりの共同執筆はどのようなプロセスで進められたのでしょうか?
セドリック:脚本は僕たちだけでなく、ロマン・ショエと共同で執筆しました。前作にも少しだけ関わってもらったのですが、今回は最初から参加してもらっています。作業は全体の設計図を最初にみんなで考え、そこで生まれた70のシークエンスを分担して執筆しました。あとからお互いの書いたシーンを読み、台詞を足したり、ジョークを加えたりと、より良い仕上がりになるように作業をしていったのです。
Q:おふたりは脚本だけでなく監督も共同で担当されていますが、創作の中では考えが合わないこともあると思います。意見がぶつかった時はどのように解決されていますか?
マキシム:撮影現場で意見が合わなかったり、内部的にやり方を変えたりする時にはしっかりと話し合いをするようにしています。(共同監督とはいえ)チームのメンバーに語りかけるのは一人だけにしているので、片方がメンバーに話す役割に回ったら、もうひとりは全体を分析する役割に回ります。なので、話をする役割の方がセットの中を行ったり来たりするわけですね。どちらが話し、どちらが分析するのか、お互いの役割は日によって変わります。
『シャイニー・シュリンプス!世界に羽ばたけ』©2022 LES IMPRODUCTIBLES - KALY PRODUCTIONS - FLAG - MIRAI PICTURES - LE GALLO FILMS
セドリック:まあ、そういう理想はありますが、例外はつきものです(笑)。それでも僕たちは撮影の準備段階から話し合っているので、少なくとも映画の方向性で意見が合わないことはありません。撮影現場で、細かいディテールの面で意見が合わないことはありますよ。たとえばドレスの色をどうするとか、テーブルの形はどれがいいとか。
ただし映画づくりは本当に大変で、一日のうちに数え切れないほどの決断を下さなければいけません。だから、その中にはお互いが同意していないこと、感覚が違うこともあっていい。むしろ撮影現場で大切なのは時間を無駄にしないことで、「時は金なり」です。その場で決めるべきこと、事前に予測できないことも速やかに決断するようにしています。