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『マジック・マイク ラストダンス』スティーブン・ソダーバーグ監督 魅惑のライブショーに触発されて三作目を決意【Director’s Interview Vol.290】

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『マジック・マイク ラストダンス』スティーブン・ソダーバーグ監督 魅惑のライブショーに触発されて三作目を決意【Director’s Interview Vol.290】

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影響を受けた過去の傑作たち



Q:ダンスシーンを撮るにあたって意識した作品はありますか?


ソダーバーグ:これまで自分が夢中になったいろんなものに影響を受けているけれど、純粋なダンスのパフォーマンスの見せ方として『ウエスト・サイド物語』(61)の「アメリカ」のシークエンスに勝るものはないと思っている。あれ以上に複雑なことをやろうとしても、支離滅裂になってしまって成立しないだろう。すべてのフィルムメイカーが、あのシーンを打ち負かすことはできないと思っているはずだよ。だからこそ、自分ができることを駆使して、対抗するなり真似をするなり、なんとか見劣りしないものを目指すしかないんだ。


クライマックスの水を使ったダンスでは、サルマ(・ハエック)が演じるキャラクターの記憶を、マイクが彼女のために踊るダンスと溶け込ませれば面白くなるんじゃないかと考えた。ダンスは直線的な時間に沿って進んでいく表現だけれど、編集という技を使えば、時間軸を変化させたり自在に操ったりできる。そうやって普通とは違うやり方をいろいろと試みているんだけど、正直、必死でアイデアを絞り出したって感じだね(笑)。



『マジック・マイク ラストダンス』© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved


Q:『ウエスト・サイド物語』以外にも影響を受けた作品はありますか?


ソダーバーグ:ボブ・フォッシーの映画はすべて見たよ。いや、『スイート・チャリティ』(69)と『キャバレー』(72)と『オール・ザット・ジャズ』(79)を繰り返し見直した。だから全部じゃなくて3本だね(笑)。アメリカのミュージカル映画においてボブ・フォッシーは絶対無視できない存在で、ミュージカルを撮るとなればフォッシーや彼の作品と繋がりを持たないわけにはいかない。ただ、そうやってヒントを探していると、アイデアを盗んで自分なりにアレンジしたいと思うこともあれば、もう別の人がやったのだから真逆のことをやってみようと考えることもあった。


Q:テイタムと脚本のキャロリンは、本作について「『プリティ・ウーマン』(90)の男女逆転バージョン」だと説明しています。『プリティ・ウーマン』は『マイ・フェア・レディ』(64)の翻案で、今回の舞台が『マイ・フェア・レディ』と同じロンドンであることに特別な意図はありますか?


ソダーバーグ:ああ、もちろん『マイ・フェア・レディ』は意識してたよ!と言えれば賢く見えるんだろうけど、正直いうとそうじゃくて(笑)、論理的に話し合った結果なんだ。 僕らはマイクを新しい環境に置きたくて、どんな舞台設定にすべきか議論を重ねた。例えば言葉の壁はあったほうがいいのか、ないほうがいいのか? 具体的に世界中のいくつかの場所とシナリオを検討した上でロンドンが選ばれたんだ。でも僕自身としては、この映画を作りたいと最初に思ったロンドンに引き寄せられた気がしている。実際、かなり強硬にロンドンを支持したしね。


プリティ・ウーマン』や似たジャンルの映画とは、明らかに類似点がある。でもそれは一種のトリックとして使っているつもりなんだ。『プリティ・ウーマン』みたいな映画では、主人公の立場は力関係において弱く、玩具のような、消費物のような扱いを受けてしまう。でもこの映画は、『ピグマリオン』(38)や『マイ・フェア・レディ』や『プリティ・ウーマン』と違って、マイクの内面には実現したい夢やイカれたスキルが眠っている。そして次のレベルに進むために、それを解き放つ必要があって、サルマが演じる女性との恋愛関係がそのきっかけになるんだ。




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