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『白鍵と黒鍵の間に』冨永昌敬監督 あえて“時代らしさ”を再現しない【Director’s Interview Vol.360】

『白鍵と黒鍵の間に』冨永昌敬監督 あえて“時代らしさ”を再現しない【Director’s Interview Vol.360】

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映画で流れる池松壮亮の演奏音



Q:主人公の南と博に池松壮亮さんが浮かんだのはどのタイミングだったのでしょうか?


冨永:第1稿が上がったのは2016年くらいで、その翌年に池松くんのマネージャーと知り合ったんです。たまに会って話をすると、どうやら池松くんが僕の映画に出たいと言ってくれていると。それで「何か企画ないですか?」と言われたので、「ちょうどいいのがあるんですよ!池松くんピアノ弾けますか?」と相談したところ、彼が中学生くらいの時に習っていたことが分かった。それで「ピアニストの役なのですが、決まったら連絡します!」とお伝えしたんです。でもそれから全然企画が決まらなかった。その後紆余曲折を経て改めて池松くんにお願いすることになったのですが、池松くんと約束してからは既に4〜5年は経ってましたね。



『白鍵と黒鍵の間に』Ⓒ2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会


Q:ピアノの演奏シーンは重要な位置を占めますが、池松さんは見事に演じられています。撮影では実際どこまで演奏されていたのでしょうか。


冨永:ジャズピアニストで音楽監督の魚返明未くんと、クラシックの演奏家でピアノの先生でもある鈴木結花さんの二人が、池松くんのピアノをレッスンしてくれました。レッスンでは魚返くんがまず演奏して、それを譜面に起こし、演奏の様子を動画に撮る。それを池松くんが見ながら動きを合わせていくというものでした。最初は「とにかく指が合うところまでになろう!」と言っていたのですが、指が合うどころか、音もちゃんと出るようになった。現場で上手な演奏が聞こえてきたなと思ったら、何と池松くん本人が弾いていた。驚きましたね。


当初は魚返くんが弾いた音で吹き替えする予定だったのですが、「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を演奏するシーンでは、先生二人が「音も本人でいけるかもしれない」と言ってきた。本人は「まだちょっと自信がないです」と音を使うことは嫌がっていましたが、二人の先生は「全然大丈夫」と。だから「ゴッドファーザー 愛のテーマ」のシーンは、池松くんが実際に弾いている音を同録しました。




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