2025年9月に石川県加賀市で開催された、世界中から集まったクリエイターと交流する没入型のリトリートイベント「THUストーリーテリング」。3日間同じホテルに滞在し講師・参加者問わず交流し続ける時間は、他にはない驚きの体験を提供してくれる。「参加した人の世界が変わる」と言っても過言ではないこのイベントは、一体どのようにして生み出されたのか。
世界中から集まったクリエイターへのインタビューもいよいよ最終回。THU創設者のアンドレ・ルイス氏と、THU JAPANのアンバサダーとして長年共に歩んできた塩田周三氏に、日本開催の意義、そして今回のテーマである「ストーリーテリング」について話を伺った。
インタビュー第一弾:小島秀夫 “語り部”がいなくなることへの危惧
インタビュー第二弾:ジョージ・ミラー 人には物語を求める「ハードウェア」が組込まれている
インタビュー第三弾:ティム・ミラー ピッチし続ける原動力は“思い上がり”
インタビュー第四弾:サイモン・リー 私たちは「ストーリーテリング」を生きている
THU Storytelling 2025 | JP version
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「本物」になりたいなら、日本でやるしかない
Q:クリエイティブ・リトリートという試みは日本では珍しいですが、なぜ日本で行おうと思ったのでしょうか。
ルイス:(塩田)周三さんにはいつも言っていますが、世界から見た日本はクリエイティビティの源泉のような存在であり、全世界にインスパイアを与えてくれている存在。本物になりたいのであれば日本でやるしかありません。
Q:実際にプロジェクトを進めるにあたり、日本での開催は大変だったのではないでしょうか。
ルイス:良いパートナーを見つけることができれば、物事はスムーズに進みます。加賀の宮元市長(当時)や、ホテルアローレの素晴らしいスタッフの存在は頼もしかったですね。一方で難しかったのは、民間のスポンサーを見つけることと、日本の皆さんに興味を持ってもらうことでした。

Sensei 寺田克也さんを囲んで、参加者と双方向に会話を繰り広げる「カンバセーション」の一幕。
塩田:アンドレが言うように、この座組は本当に幸せでした。加賀市に出会い、市民の皆さんの手厚いバックアップをいただくことができた。今回はスピーカーのキャリバー(力量・実績)もすごく高くなっています 。そして根本的な考えとして、今年は「ストーリーテリング」というコンセプトをより明確化し、「物語」について語り合おうと決めました。エンターテインメントに限らず、様々な背景の方々を集めて「人を動かしている“物語”」について推進していこうと 。
また、ポルトガルの本イベントに比べると規模は小さく360名ほどになっていますが、このホテルに入る規模でやろうと決めました。参加費は十数万円かかりますが、この内容で考えると相対的には安い。運営的には360人では成り立たずスポンサーが必要になってきますが、この規模だとリーチが小さいと判断されてしまう。そこがいつもジレンマです。
予算が潤沢になればもっと宣伝したいですね。日本での知名度はまだまだ低く、加賀市民でさえご存知ない方は多い。内容には絶対的な自信がありますが、経済的に成立させること、認知を広めることにはまだ課題があると感じています 。