『ブルーベルベット』からもらった“お墨付き”
Q:日本映画の中でこれに追従するような作品はあまりなく、ヤクザ映画でありながらも『トレインスポッティング』(96)のような90年代~2000年代の潮流を感じます。
佐藤:日本では真似しようがないのかもしれません。むしろ海外のスプラッターやヤバい系の作品に影響を与えている気がします。みんなが知っているヤクザ映画とは全く違うものになっていますから。
Q:ヤクザ映画を撮るという意識は脚本を書くときにあったのでしょうか。
佐藤:私や三池監督は大阪の八尾や東大阪の出身で、ああいう人たちが割と頻繁にいる地域で育ちました。ヤクザよりも、日常にいるヤクザではないおっさんたちの方がよっぽど怖かったりするので、それを思い出しながら書いていました。

『殺し屋1 4K』©山本英夫/小学館「殺し屋1」製作委員会2001
Q:自分が関わった映画が四半世紀を超えて再びスクリーンに現れることに、何か思いはありますか。
佐藤:自分でもあれだけ面白いと思った作品が、公開後はずっと上映されなかったので、憤りのようなものがありました。でも、もしここまでの間に上映されていたら、使い古されていたかもしれません。自分もこれまで頑張ってきた中で、今またここでやり直せるようなタイミングとなって、ありがたい限りです。
公開当時は残虐描写にショックを受ける人が多かったですが、先日、シネマリスの「浅野忠信特集」で上映したときは、初めて見る人が8割くらいいたのですが意外と皆ショックを受けておらず、今の観客はこれくらいのことは受け止められるようになっているのだと、改めて思いました。
Q:好きな映画や影響を受けた監督を教えてください。
佐藤:ひとつ挙げるとすれば、デヴィッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』(86)ですね。 それまではお笑いをやりたい気持ちが強かったのですが、自分の歪んだ面白さはお笑いでは発揮できないと感じていました。そんな時に『ブルーベルベット』を見て、「映画でこんな変なことをやっていいんだ」とお墨付きをもらったような気がしたんです。あの作品を見ていなかったら、映画はやっていなかったかもしれません。
『殺し屋1 4K』を今すぐ予約する↓

脚本:佐藤佐吉
1964年、大阪生まれ。映画監督、脚本家、俳優。大学卒業後、キネマ旬報社及び西友映画事業部に所属し、東京国際映画祭ニッポンシネマナウ部門、サンダンス映画祭in東京を企画。1999年『金髪の草原』にて脚本家デビュー。以後『オー!マイキー』(00)、『殺し屋1』(01)などの脚本を手がけ、2005年『東京ゾンビ』で劇場長編映画監督デビュー。NHKで放送した満島ひかり主演「シリーズ江戸川乱歩短編集」、池松壮亮主演「シリーズ横溝正史短編集」の脚本・演出を手掛ける。俳優としてクエンティン・タランティーノ監督『キル・ビルVol.1』(03)、黒沢清監督『スパイの妻』(20)などに出演。本作でもイチを痛めつける風俗店店員として出演している。
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『殺し屋1 4K』
5月15日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
配給:鈴正 weber CINEMA CLUB
©山本英夫/小学館「殺し屋1」製作委員会2001