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『マイ・プライベート・アイダホ』『ドラッグストア・カウボーイ』<デジタルリマスター版>ガス・ヴァン・サント監督 スタイルは意図的なものではない【Director’s Interview Vol.579】

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『マイ・プライベート・アイダホ』『ドラッグストア・カウボーイ』<デジタルリマスター版>ガス・ヴァン・サント監督 スタイルは意図的なものではない【Director’s Interview Vol.579】

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過去のスタイルに頼らない。常にゼロから始める



Q:俳優に自由な演技をさせてアドリブも許す演出法は、このときからすでに始まっているようですが、それでも完成すると確実のガス・ヴァン・サントの映画になっている。キャストやスタッフに自由を与えながら、どうやって自身のビジョンを作りあげているのでしょうか。


ヴァン・サント:全体の雰囲気が「私らしい映画」に見えるのだとしたら、それは決して意図して様式化した結果ではありません。フェリーニやキューブリックのような偉大な監督であっても、作り手は  “自分に理解できる唯一の方法”である過去の経験やアイデアに頼らざるを得ず、それが必然的にその人のスタイルになっていくのだと思います。


私自身は、自分の作品にそうした作家性があることには無自覚です。むしろ私は過去の手法を踏襲するのではなく、常にゼロから始めることを心がけています。物語は作品ごとに全く異なるため、その都度選んだアプローチの組み合わせこそが、新たなスタイルを生み出すと考えているからです。例えば『GERRY ジェリー』(02)『エレファント』(03)『ラストデイズ』(05)では、夜間も含めて照明を一切排除し、自然光のみで撮影するという決断を下しました。撮影監督もこの制約を大いに面白がってくれましたし、結果的にその選択が作品独自のトーンを決定づけました。もちろん物語選びやキャスティングも非常に重要な要素です。



『ドラッグストア・カウボーイ』©1989 Avenue Entertainment,Inc.All Rights Reserved.


ラース・フォン・トリアーの「ドグマ95」が定めた照明や三脚の排除といったルールは、根本を言えば「いかに低予算で映画を作るか」という知恵でもあります。しかし重要なのは資金面での都合以上に、そうした制約や原則を作品ごとに自ら設定して挑むことなのです。使い慣れた機材で自身の確立したスタイルを発揮することを好む監督もいますが、私にとっての映画作りは、毎回まったく違う挑戦をするための機会です。だからこそ意図的に毎回違うアプローチを試みているにもかかわらず、結果的にどれも“私らしい映画”になってしまうのは面白いですよね。おそらく編集段階での細かな選択の積み重ねが、最終的にそうさせているのでしょう。




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