『ラストデイズ』あらすじ
薬物中毒のリハビリ施設を脱出した若きカリスマ・ミュージシャンのブレイク。森の中で一夜を明かすと翌朝、ぼろぼろの格好で自分の屋敷にたどり着く。そこには居候している友人たちがおり、そして次々とブレイクを訪ねる者が現れるが…。
Index
- ガス・ヴァン・サント「死の三部作」
- カート・コバーン最後の数日間に想を得た架空の物語
- 遺族と作品の関係性
- ボーイズIIメン「ベンデッド・ニー」のMVが示唆するもの
- 刺激のない“自己の循環”
- 宗教的描写に込めた意味とは
ガス・ヴァン・サント「死の三部作」
ときは“00年代”。アートフィルムの領域において一際存在感を放っていたガス・ヴァン・サント監督は、カンヌ国際映画祭パルム・ドール&監督賞を受賞した『エレファント』(03)によって、更なるカリスマ的存在に押し上げられていた。
そして次なる監督作となったのが、あるロックスターの命が失われるまでの2日間を描いた『ラストデイズ』(05)だった。これらのタイトルと『GERRY ジェリー』(02)を含めた、3つの映画作品は、サント監督のフィルモグラフィー中で、後に「死の三部作」と位置付けられることになる。

『ラストデイズ』(c)Photofest / Getty Images
自然の過酷さに襲われる死、銃の乱射事件が引き起こす死、そして自ら選び取る死……本作『ラストデイズ』は、三部作の最終作として最も陰鬱で、人間の心理の奥にある闇を感じさせる内容となっている。これらの作品に共通しているのは、全編に行き渡ったミニマリスティックな演出があること。
まるで、ハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督の演出のように、カットごとに長回しのシーンが連続し、セリフを極力排し説明を避けるストイックなスタイル……そんな異様な筆致で、若者が死に直面するエピソードが描かれていく。そして前2作が実際に起こった事件を題材としていたように、本作『ラストデイズ』もまた、現実の出来事を基にしているのだ。