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『マレフィセント2』3面上映×4Dで飛行シーンに没入!「4DX with ScreenX」体感レポート
『ScreenX』の“欠点”を克服する『マレフィセント2』との相性
『マレフィセント2』の「4DX with ScreenX」上映でことさら目を引いた部分は、特殊演出が綿密に設計されている点だ。前述した「うねる」ような座席の可動だけでなく、戦闘シーンではキャラクターが攻撃を受けた部位に連動して打撃が入る(マッサージチェアのようなイメージだろうか)、鍜治場のシーンでは熱風が吹く、魔法を使うシーンではフラッシュが明滅し、森の中のシーンでは柑橘系の香りがするなど、常に何かしらの効果が稼働し、観客を飽きさせない。
もちろん、1つひとつの効果自体は4DX上映においてはデフォルトの機能だが、ScreenXと組み合わさることで「感度」は跳ね上がり、さらに『マレフィセント2』という題材そのものが「映える」映画であるため、心地の良い相乗効果を生み出している。
実はScreenXには作品によってはある欠点があり、それは「意外と3面が使われない」という点。これはどういうことかというと、元々ScreenX仕様で作っている映画というのはほぼないため、3画面に向いているシーンがそもそもなく、結果的に観客が期待したよりは見せ場がなかった、という事態に陥るという場合がどうしても出てきてしまう。だが本作においては、特にラスト30分はほぼずっと3面構成になっている大サービスぶりで、それだけでも「4DX with ScreenX」で見る価値は十二分にあるといえよう。
『マレフィセント2』(c)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
バトルシーンのみならず、マレフィセントが激昂して魔力を発動するシーンでは一気に3画面に広がるなど、キャラクターの感情に合わせた演出も光る。また、妖精の国を大パノラマで見せるシーンほか、観客の「このシーンは3画面で観たい」という想いを、しっかりと汲んだ設計になっており、画面の拡大⇔収縮の繰り返しにおけるストレスも感じられない。ScreenX のイメージはいわばマンガの「見開き」に近いものだが、設計者と観客の間に認識のズレがないため、通常版で観るよりも遥かに「入り込める」仕上がりになっている。
ちなみに、『マレフィセント2』の監督は、前作のロバート・ストロンバーグから『コン・ティキ』(12)や『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』を手掛けたヨアヒム・ローニングに交代している。撮影監督は、前作のディーン・セムラーから『ターザン:REBORN』(16)や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(17)のヘンリー・ブラハムにバトンタッチ。ダイナミックな映像美を得意とする2人の参加も、本作の没入感を構築した大きな要因だろう。