(C)2017 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
『ラストタンゴ・イン・パリ』画家フランシス・べーコンが映画監督たちに与えるインスピレーション、その源流
2019.11.11
フランシス・ベーコンがつなぐ“縁”
『ラストタンゴ・イン・パリ』は過激な内容と描写によって、イタリアでは上映禁止や猥褻裁判にかけられるなどスキャンダラスな話題にも事欠かなかった。その4年後に、同様に性的な内容により物議をかもしたのが日仏合作・大島渚監督作品『愛のコリーダ』(76)である。
大島渚はその後『戦場のメリークリスマス』(83)で坂本龍一を俳優兼音楽監督として起用。同作のプロデューサーであるジェレミー・トーマスが手がけた、ベルトルッチ監督作『ラストエンペラー』では、坂本龍一はまたも俳優兼音楽監督として起用され、アカデミー作曲賞受賞の快挙につながった。
ベルトルッチ監督はその後も『シェルタリング・スカイ』『リトルブッダ』で坂本龍一を連続で起用した。そんな坂本龍一が、1998年、フランシス・ベーコンとその恋人ジョージ・ダイアーとの実話を描いた映画『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』(98:ジョン・メイブリー監督)の音楽をオファーされ、彼の絵が好きということで二つ返事で受けたようだ。フランシス・ベーコンがつなぐ、人の縁。なんという奇遇であろうか。
『ラストタンゴ・イン・パリ』(C)2017 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
筆者は、2013年に東京国立近代美術館で公開された「フランシス・ベーコン展」で絵画の実物を見ているが、多くの作品は、大人の背丈以上の、想像以上に大きいものであった。その存在感たるや、恐ろしいほどであった。現在公開されている『JOKER』(19)における、ホアキン・フェニックスの病的なまでにやせ細った肉体と虚無感からくる恐れの無さ、そのような反社会的な存在感のアイコンに、筆者は、いまだに世界の映像クリエイターを刺激してやまない、フランシス・ベーコンのDNAの伝播を感じてしまうのだ。
文:江口航治
映像プロデューサー。広告を主軸に、メディアにこだわらず幅広く活動中。カンヌはじめ国内外広告賞多数受賞し、深田晃司監督『海を駆ける』(18)やSXSWへのVR出展など、様々な制作経験を経たプロデューサーならではの視点で寄稿。「note」でも投稿中。
『ラストタンゴ・イン・パリ』
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(C)2017 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.