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『ブラッド・シンプル』コーエン兄弟が友人サム・ライミから伝授された資金集めの秘策とは?

『ブラッド・シンプル』コーエン兄弟が友人サム・ライミから伝授された資金集めの秘策とは?

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コーエン兄弟のエッセンスが詰まった鮮烈なるデビュー作



 名匠と呼ばれる映画監督の長編第1作には、後のキャリアにつながるエッセンスが詰まっていることが多い。


 例えば、80年代の初めに名を挙げたコーエン兄弟の『ブラッド・シンプル』(84)はその典型と言えるだろう。雪や荒野といった広大なキャンバスの中に人間模様を浮かび上がらせるのが彼らの得意なスタイルだとするなら、それは本作でも健在。まるでこの世には登場人物以外に誰も存在しないかのように、都会から離れただだっ広い土地や延々と続くハイウェイにて、ごく限られた男女が最小限のネオ・ノワールを繰り広げていく。


 登場人物に切れ者は皆無だ。あらゆる可能性を予測できる者など一人もおらず、誰もが場当たり的。それでもなんとかピンチを凌ごうと、目の前の出来事に右往左往するうち、ボタンのかけ違いは酷くなる。これらのサスペンスを、キリキリくる深刻さとは無縁な、どこかゆったりと余白の多いユーモラスな空気の中で醸成していくのが、コーエン兄弟流だ。



 私の印象では、この兄弟デュオが自作についていちいち饒舌に語るイメージは全くないのだが、こと本作に限っては、ディレクターズ・カットの製作、中国の巨匠チャン・イーモウによるリメイク(『女と銃と荒野の麺屋(09)』)の許諾、また近年になっての4Kレストア版の製作に至るまで、彼らが「語る」代わりに、世の中に対し何度も「再注目」の機会を提供しているようにも見える。


これはきっと、彼ら自身がこの原点をとても大切にしていて、ファンにも折を見て何度でも本作に触れてほしいと望んでいる証しではないだろうか。



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