1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ドクター・スリープ
  4. 『ドクター・スリープ』キューブリック作『シャイニング』を引き継ぎつつ、原作者キングを満足させた理由とは ※注!ネタバレ含みます。
『ドクター・スリープ』キューブリック作『シャイニング』を引き継ぎつつ、原作者キングを満足させた理由とは ※注!ネタバレ含みます。

(c)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

『ドクター・スリープ』キューブリック作『シャイニング』を引き継ぎつつ、原作者キングを満足させた理由とは ※注!ネタバレ含みます。

PAGES


キングの続編小説とキューブリックの改変をつなぐ難題



 キューブリック版の世界観など絶対に認めないと言わんばかりに、自ら製作総指揮・脚本を担って『シャイニング』のテレビドラマ版まで作ったキングのこと。続編小説の『ドクター・スリープ』には当然、キューブリックが改変し創作した要素を含めていない。小説の前作では、ラストでオーバールック・ホテルが焼け落ち、離れの展望台が残るのみだ。庭には、生垣でできた迷路はもともと存在せず、動物の形に刈り込まれた植木があった。


 さて、映画化権を獲得したワーナー・ブラザースが監督に選んだのは、ホラー映画一筋のマイク・フラナガン。キングの原作ではNetflix映画『ジェラルドのゲーム』(17)で実績があり、同作が批評家筋とキング自身から高く評価されたことも大きかっただろう。



『ドクター・スリープ』(c)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved


 フラナガンと製作陣は当然、映画『シャイニング』がキューブリックの代表作のひとつであり、世界中の映画ファンにとってお馴染の内容であることを承知している。そこで彼らは、長大な原作小説のストーリーを映画サイズに刈り込みつつ、キューブリック版を覚えている人も違和感なく入り込めるようなアレンジを模索した。


 原作から大きく改変されたのは、ユアン・マクレガーが演じるダン(ダニーが成人してそう名乗るようになった)とやはりシャイン(超能力)を持つ少女アブラが、シャインを食べて生き長らえている吸血鬼集団に似た「トゥルー・ノット(真結族)」のリーダー、ローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン)と対決する終盤の舞台。小説では焼け残った展望台が決戦の場となるが、フラナガンらはホテルが前作の惨劇の後に閉鎖されたまま40年間眠っていたという設定に改めた。



『ドクター・スリープ』(c)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved


 キューブリック財団に保管されていたセットの設計図を取り寄せ、シンメトリーのデザインが印象的な大広間や、幾何学模様の絨毯が敷き詰められた廊下、ボールルームとバーカウンターなどを正確に再現。さらに、(小説の世界には元々存在しない)生垣の迷路も再び作られ、ジャックとダニーのチェイスを彷彿させるローズとアブラのシーンが用意された。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ドクター・スリープ
  4. 『ドクター・スリープ』キューブリック作『シャイニング』を引き継ぎつつ、原作者キングを満足させた理由とは ※注!ネタバレ含みます。