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『エクス・マキナ』インディーズ映画の可能性をアップデートした、アカデミー視覚効果賞受賞の新しいSF映画

(c)Photofest / Getty Images

『エクス・マキナ』インディーズ映画の可能性をアップデートした、アカデミー視覚効果賞受賞の新しいSF映画

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コンセプトを強化した、素晴らしいロケ地の発見



 当初ネイサンの自宅は、セキュリティが完璧な巨大な要塞のイメージで考えられていた。ディグビーたちは裏付けのためのリサーチを開始するが、想像していたようなビリオネアの本当の姿は取材が不可能だった。代わりに、ミリオネアと呼ばれる、普通の?富豪たちの取材はできたが、わかったことは、意外にも、さほど巨大な家に住んでいないという事実だった。


 そこでコンセプトを転換し、小さな家に住んでいるが土地が広い、という方向で世界中にリサーチした結果、ノルウェーにユニークな建築物を発見する。フィヨルドと山岳に挟まれた広大な大自然の中にポツンと佇むモダンなホテルだ。実際に行ってみると度胆を抜く景観に囲まれており、自然の地形をそのまま生かして設計されたインテリアも信じられないほど贅沢な作りをしている。そして、そのホテルの建築家の邸宅も、全く同じテイストであった。想像以上の環境が、新たなコンセプトを規定していく。


 「国立公園かのような広大な自然を所有し、ヘリコプターでしか行けないような奥地にひっそりと佇む一軒の邸宅に住んでいる。最新のテクノロジーで生活環境とセキュリティを整備し、ダイナミックな大自然を丸ごと借景して独り占めにしたかのような地上の生活拠点。そして、窓が無く閉鎖された地下にAIの研究開発拠点を構えている。」



『エクス・マキナ』Film (C) 2014 Universal City Studios Productions LLLP. All Rights Reserved. 


 現代を象徴する成功者の姿としては悪くない。しかも、自然とテクノロジー、人間とAI、有機物と無機物、解放と幽閉、能動と命令、様々な二元論が可能な舞台設定にもなっている。


 美術セットをゼロから作らなくてすむロケ撮影は、コスト削減にはもってこいだ。ただし、ノルウェーは撮影コストが高くつくため、ロケは2週間に限定、地下の部分をスタジオセットにして、予算的にも効率的なプランが立てられた。



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