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『エクス・マキナ』インディーズ映画の可能性をアップデートした、アカデミー視覚効果賞受賞の新しいSF映画

(c)Photofest / Getty Images

『エクス・マキナ』インディーズ映画の可能性をアップデートした、アカデミー視覚効果賞受賞の新しいSF映画

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撮影監督のこだわり



 由緒あるイギリスのパインウッドスタジオに設けられたセット。ここでは、すぐ近くに撮影照明機材、美術部、試写室があり、いつでもすぐにスタッフ間のコミュニケーションがとれる環境が整っていた。そこでは連日、監督とスタッフで活発な議論が行われていたという。


 ちなみに監督とスタッフがよく見ていたのが、1950年代にニューヨークの日常風景を撮っていたソール・ライターの写真(ガラス越しの撮り方の参考)、ロシアの抽象画家カジミール・マレヴィッチの絵(照明の参考)、アンドレイ・タルコフスキー監督の『ストーカー』(美しさ)、ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』(自分自身を疑う感覚)だったそうだ。


 また、今回の撮影において、撮影監督のロブ・ハーディがこだわった点が3つあった。一つは、俳優の演技を尊重するため、セットには必ず天井を作り、脚本の設定そのままの状況を作ること。要は撮影照明の都合優先にしないセット作りをすることだ。二つ目は、ロケ地もスタジオセットも全て、照明光源をタングステンで統一すること。これは、柔らかく豊かな質感の統一を狙ったためだ。そして最後の三つ目が、古いレンズを使うこと、だった。



Film (C) 2014 Universal City Studios Productions LLLP. All Rights Reserved. 


 フィルムカメラの使用は予算の都合上無理なため、SONYのF-65というデジタルカメラを使ったのだが、画角をシネマスコープサイズにするために必要なアナモフィックレンズは、古いレンズにすることにこだわった。実際に使用したレンズは『スターウォーズ  ジェダイの帰還』(83)でも使われたビンテージものである。


 この古いレンズは、職人の手で一つ一つ作られたものなので、ボケや深度など、描写力に個性がある。本作の被写体はモダンで直線的で、ソリッドな物体ばかりである。カメラルックまでシャープネスを追求しすぎないことで、観客が気づきにくいレベルで「曖昧な揺らぎ」のようなものが生まれ、視覚的な奥深さが生まれたのかもしれない。


 しかし実はこのレンズの選択が、CGチームの作業を追い込んでしまう最大の原因になったのだった。



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