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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はみ出し者たちを繋ぐPOP&ROCKの意味とは

(c)Photofest / Getty Images

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はみ出し者たちを繋ぐPOP&ROCKの意味とは


悪魔の毒々トロマ・エンターテイメント



 ジェームズ・ガンは学生時代にバイトで入った映画制作会社で、書類の整理や小間使いでもさせられるのだろうと思ったが、いきなり「脚本を書け!」と命じられる。彼が入った映画会社とは「トロマ・エンターテイメント」。命じたのは会社の「総帥」ロイド・カウフマンだ。


 アイビーリーグの名門イエール大学出身のエリート、ロイド・カウフマンを「総帥」として設立された映画制作・配給会社「トロマ・エンターテイメント」通称「トロマ」で作られる作品を大まかに分けると2種類になる。「ソフトポルノ」と「ホラー」だ。ただ、近年ではアダルト・ビデオの台頭によりわざわざ映画館でエッチな気持ちになろうという人は減り、もっぱら「ホラー」専門になっている。とはいえ、総帥ロイド・カウフマンの趣味により作品中には高頻度で濡れたTシャツ1枚で胸を揺らした女性が現れる。もちろん、そんな登場を許すような作品なので「ホラー」とはいえコメディ色は強い。


 カンヌ映画祭のニュース映像で、歌舞伎の隈取風のメイクをした男や、ひしゃげた顔の特殊メイクでバレエのチュチュを着た男がふざけている様子を見たことがある人も多いだろう。彼らは世界中からカンヌに集まった映画バイヤーを狙い、自社制作の作品を売り込もうとしているトロマの面々である。


 エロいコメディ・ホラーと、陽の目の当たりづらい文芸作を高く評価するカンヌ映画祭では、水と油のように思えるが、親和性は高い。共に有名俳優をあまり使わず低予算で製作される。故に権利料は安く、公開は小規模で、観に行くのも限られた人ばかり。そんな中でも稀にビッグヒットを飛ばす作品がある。安くて大ヒットの可能性を秘めた作品を求め、カンヌには射幸心の強いバイヤーがとりわけ多く来場する。トロマの面々もそのご相伴にあずかろうと、大手映画会社と同じホテルにプロモーションルームを構え、他社へ商談に来たバイヤーを引っ張り込むのだ。



 もちろん日本にもトロマ謹製作品は多く輸入されている。タイトルの頭に「悪魔の毒々」と冠されているのがトロマ作品の刻印である。中でも『悪魔の毒々モンスター』(84)はカルト的な人気を得て、ミュージカル化もされるほどの人気になっている。


 トロマ作品は、とにかくハイテンションで、ひっきりなしに首や手足が飛び散り、奇怪なモンスターが徘徊し、下ネタ満載のプリミティブなギャグが放たれ、隙あらば女性がヌードになっている。それはぶらり訪れたバイヤーが見た瞬間瞬間に面白いものが映っているように設計されているからだ。


 また、低予算での制作のためトロマの面々は強い結束力で結ばれている。そもそも「エロいコメディ・ホラー」というニッチなジャンルの作品を作っているため、好きで集まってくるのは似た者同士だ。さらに、ロケ撮影などでは現地の仲間のリビングで雑魚寝するハメになる。気心の知れた間柄であるため、口さがない言い争いやケンカもあり、もはや腹を割った家族のような関係性だ。




 ジェームズ・ガンは、ダレ場の無いハイテンションな作劇と際どいジョークを作品に練り込む手法や、腹を割って結束する仕事場での人間関係の構築を、狂騒的なトロマの作品作りの現場で学んでいく。いわく「映画学校に金を払って映画制作の勉強をするくらいならトロマに入った方がイイ。」とのことだ。


 ちなみに、総帥ロイド・カウフマンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』劇中、刑務所でガモーラに罵声を浴びせる囚人としてカメオ出演を果たしていることからも「家族」の結束力が伺い知れるだろう。



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