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『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』が描くセカイ系のセカイ・ノ・オワリ

(c)Photofest / Getty Images

『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』が描くセカイ系のセカイ・ノ・オワリ

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アナタの世界とワタシの世界



 『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う』の「ワールズ・エンド」にはイギリス特有の地名である意味と同時に、もちろん言葉通り「世界の終わり」も意味している。


 「世界」と言えば地球上にある全ての国の総称と捉えるのが一般的だが「私の世界」とか「アナタの世界」と言った場合、それは個人的な行動範囲や交友範囲、帰属する家系、家族、会社、友人グループ、地域グループなどのコミュニティー全体、加えて見聞きして知っている事柄全てを指す。


 たとえば、劇中のアンディ(ニック・フロスト)には、家族や親類縁者がいて、法律事務所に所属し同僚やクライアントとの交流があり、友人としてかつての仲間たちがいる。そして、仕事で必要な知識がある。他にも細かくいろいろあるだろうが、これらが「アンディの世界」を構成している主な要素である。



『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う』(C) 2014 Universal Studios. All Rights Reserved.


 一方、ゲイリーは母親とは交流があるようだが、自身の家庭の存在は影も見えない。仕事をしているようにも見えず、友人はかつての仲間がいるくらい。人生の絶頂期だったパブクロールをした学生時代から、ほんの一歩の成長すらも拒否しつづけ、学生時代と寸分違わぬ黒のロングコートにシスターズ・オブ・マーシーのロックTシャツを着込み、当時と同じ車に乗り、当時聞いていたカセットテープをまだ聞いている。呑んだくれて、遊び呆けて、あげくアル中にまでなっている。これが「ゲイリーの世界」だ。


 アンディは、狭くて幼稚でどうしようもない「ゲイリーの世界」と、家族との生活基盤を含んだ「自分の世界」を天びんにかけるハメになる。そしてアンディは、その重大な選択に意外な答えを出すのである。



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