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『コンテイジョン』我々はどう「動く」べきか――新型コロナを予見した細菌パニック映画

(c)Photofest / Getty Images

『コンテイジョン』我々はどう「動く」べきか――新型コロナを予見した細菌パニック映画


徹底した考証を施し、専門家からも評価



 作品の内容に移る前に、まずは『コンテイジョン』の成り立ちを見ていこう。


 2009年の映画『インフォーマント!』(主演はデイモン)で組んだソダーバーグ監督と脚本のバーンズは、次回作について話し合っていたという。最初はアドルフ・ヒトラーに愛された映画監督レニ・リーフェンシュタールの伝記映画を企画していたそうだが、観客の興味を十分に惹けないのではないか、という理由から断念。その後、バーンズが提案したのが「パンデミックもの」だという。


 バーンズは、天然痘の研究の権威である免疫学者・医師ラリー・ブリリアントのセミナーや、SARSや新型インフルエンザに詳しいジャーナリスト・作家のローリー・ギャレットの著書「カミング・プレイグ―迫りくる病原体の恐怖」で理解を深め、さらに2009年に発生した新型インフルエンザの世界的流行を盛り込み、脚本に現実味を付加していった。また、映画自体の監修は感染症専門家のイアン・リプキンが務めており、本作で描かれる一部始終は、決して絵空事ではない(リプキンの進言によって、いくつかのシーンが再撮影されたという)。




 作品に対する専門家の反応も好評で、科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」等で引用もされたほか、「コロナウイルスとの向き合い方を学べる」と今日、再評価されてもいる。アメリカの映画批評サイト「Rotten Tomatoes」での評価は現時点で85%だが、仮にいまこの映画がリリースされたなら、もっと高評価を得られたのではないか。


 『コンテイジョン』が科学的な考証を入念にしていることは、これらの事実からもよく分かるが、玄人向けの固い作品に陥っていないのは、社会問題とサスペンスを融合させる手練れであるソダーバーグ監督の手腕が大きいだろう。本作のファーストカットは2時間20分ほどの大作だったが、友人の助言を受けてまず90分に縮め、その後追加撮影でいくつかのシーンを足し、105分にまでそぎ落としたそうだ。


 ちなみに、本作の編集は、『トラフィック』(00)ほか多くのソダーバーグ監督作品や『バベル』(06)『レヴェナント: 蘇えりし者』(15)ほかアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督とのコラボレーションで知られるスティーヴン・ミリオンが務めている。


 それらの背景を知ったうえで本作を観れば、息もつかせぬスピーディな展開の陰にあった、作り手の苦心を感じられることだろう。



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