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『フィフス・エレメント』リュック・ベッソン念願の企画を救った幸運と友情

(c)Photofest / Getty Images

『フィフス・エレメント』リュック・ベッソン念願の企画を救った幸運と友情

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最初に想定されていたキャスティングとは?



 『フィフス・エレメント』の原案は、ベッソンが16歳のころに書き始めたものだった。彼がまだ何者でもなかった時代、脚本の書き方もわからぬ中で、執筆しては捨て、執筆しては捨ての日々を繰り返していたという。だが、雑用係から始めた映画仕事がことのほか忙しくなり、それらに翻弄されているうちに脚本もいつしか放置状態になったそうだ。


 それから18年。ベッソンが『サブウェイ』(85)、『グランブルー』(88)、『ニキータ』(90)の成功で自信を手にし、そろそろ次のステップへ移ろうとしていた頃、彼の中でふと懐かしき企画のことが思い出された。今こそ、あれを動かす時ではないのか——。


 彼は壮大な原案を映画化可能なレベルへと落とし込み、ハリウッドの映画会社の感触も探りながら、企画を練り上げていった。それがある程度の段階に達すると、いよいよ専門のスタッフ収集が始まる。ファッション界の大物、ジャン=ポール・ゴルチエに衣装デザインを依頼して快諾を得たのもこの頃である。



『フィフス・エレメント』(c)Photofest / Getty Images


 ゴルチエによると、当時、まだ具体的なキャストは全く決まっていなかったものの、「主役にメル・ギブソン、ヒロイン役にジュリア・ロバーツ、DJ役にプリンス」という希望段階の簡単なイメージだけは示されていたのだとか。結果的にその誰もが獲得できていないが、しかし完成版と比較すると、そのイメージは少しもブレていないことが伺える。


 だが、本作にとってはやはりこのキャスティングこそが最大の鬼門だった。どの方面からも全く良い感触が得られない。肝心の主役が決まらないことには映画会社も首を縦には振れず、身動き取れなくなったベッソンは製作を凍結せざるをえなくなってしまう。彼はゴルチエに詫びを入れ、二人は飲んで、また近いうちに一緒にやろうと誓い合ったという。



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