2020.04.24
ピンチを救った、ブルース・ウィリス
それから数年後、『レオン』の成功でこの企画が再始動した時も、やはり難関はキャスティングだった。メル・ギブソンやケビン・コスナーをはじめとする90年代ドル箱スターたちがゲットできず、照準をトップ俳優から上り坂俳優へとシフトして、製作費を削減することも検討されていたとか。が、この時、ベッソンの懐に思いがけない男が転がり込んでくる。それがブルース・ウィリスだった。
以前、ベッソンとデミ・ムーアが会食していた時に挨拶を交わしたことのあるウィリスだったが、映画会社の社長とベッソンが面談しているオフィスに、たまたまウィリスからの電話がかかってきて、そこで「やあ、久しぶり」と一言だけ挨拶を交わしたところ、「なんでそこにいるんだい?」「いやあ、新作の打ち合わせでね」「水くさいじゃないか。俺には全然声もかけてくれないってわけか?」という話に。
『フィフス・エレメント』予告
どうやらこの時期、ウィリスは過去の『ダイ・ハード』的な役柄から脱しようと、独特のセンスを持った監督とのコラボレーションの可能性を探っていたようだ。(同時期の作品には『パルプ・フィクション』(94)や『12モンキーズ』(95)がある)。とにかくギャラは交渉次第でどうにでもなるから、まずは脚本を読ませてくれということになり、トントン拍子で話が進む。ベッソンにとってはまさに巨大な壁を突き破った運命の一瞬だった。こうやって大物スターが出演を決めたことで、本作にはようやくゴーサインが出されたのである。