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『フィフス・エレメント』リュック・ベッソン念願の企画を救った幸運と友情

(c)Photofest / Getty Images

『フィフス・エレメント』リュック・ベッソン念願の企画を救った幸運と友情

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監督業のすぐ後のオールドマンは放心状態に・・・



 こうして核となる人物が定まったことで、ゴルチエも再び戻ってきた。さらに大規模なオーディションを経てヒロイン役に選出されたのはミラ・ジョボヴィッチ。何が起こっても決して挫けず、全身全霊でぶつかっていく強靭な精神力は、彼女がこの頃から持ち合わせていたもののようだ。


 一方、ウィリスとはほんのわずかしか共演しないのに、本作で破格の存在感を残すのがゲイリー・オールドマンだ。『レオン』では脚本を読まずに出演を即決したそうだが、その後、オールドマンが初長編監督作『ニル・バイ・マウス』(97)を手がける際には今度はベッソンが脚本を読まずに出資することを決め、それにまた呼応する形でオールドマンは今回もまた、脚本を読まずに『フィフス・エレメント』への参加を決めた。


『ニル・バイ・マウス』(予告)


 ただし、『ニル・バイ・マウス』と『フィフス・エレメント』の製作期間が微妙に重なっていたこともあり、彼の撮影への合流はかなり遅くなった。いざ現場に現れた彼はかなりナーバスになっていたという。長期にわたってまるでタイプの異なる作品の監督業にのめり込んでいたものだから、本作のあまりに斬新かつ壮大な世界観にかなり面食らってしまったようだ。


 長らく演技から遠ざかっていたこともあり、ゲイリーはまず、着せられたゴルチエの衣装に困惑して「こんなんで本当にいいのか?」と不安がった。そしていざカメラが回り始めると、頭が真っ白になって「申し訳ない・・・演じ方がわからなくなってしまった」と打ち明けたとか。ゲイリーでもこんなことになるのだ。その告白を受けてベッソンも理解を示し、彼が徐々に現場に馴染んでいけるように計画を練り直したという。


 後年の発言などを読むと、オールドマン自身はそれほど『フィフス・エレメント』を高く買っているわけではないようだが、それでもしっかりと仕事をこなし、ベッソンとの友情を全うしようとした姿勢は評価に値する。相変わらず素っ頓狂でぶっ飛んでいて、なんだかよくわからんが、見ていて無性に楽しくなる演技だ。



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