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『フィフス・エレメント』リュック・ベッソン念願の企画を救った幸運と友情

(c)Photofest / Getty Images

『フィフス・エレメント』リュック・ベッソン念願の企画を救った幸運と友情

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運と友情によって支えられた奇跡の作品



 思えば、この「よくわからんが、なんだか楽しい」とは、『フィフス・エレメント』全体の感想としてもよく耳にする言葉である。これほど多くの要素が結集しながら、力技で観客をねじ伏せるのではなく、「なんだか楽しい」のである。


 全てはベッソンのアイディアと情熱のきらめきによって始動したものだが、それはあくまで「きっかけ」に過ぎない。むしろ、ゴルチエに始まり、ウィリス、ジョボヴィッチ、オールドマンなど、後から加わった旅の仲間たちによってもたらされたエレメントの方が、どれほど大きな意味を占めていたことか。



『フィフス・エレメント』(c)Photofest / Getty Images


 人は才能や情熱だけで身動きが取れなくなった時、「幸運」と「友情」が助けとなる。『フィフス・エレメント』という壮大なパズルの最後のピースは間違い無くその二つだった。これらがうまく合わさって機能し、決して作り手の独りよがりではない、適度に力の抜けた「SFコメディ」としての絶妙なテイストが成立したことはまさに奇跡的と言っていい。


 傑作『レオン』との比較が避けられない中で、本作はある意味、全く異なる境地を目指したゾクゾクするほどの予測不能な一手となった。「よくわからんが、なんだか楽しい」、それはベッソンにとっても最大級の褒め言葉だったに違いない。



参考文献)「フィフス・エレメント リュック・ベッソンの世界」(リュック・ベッソン著/檜垣嗣子訳/1998/ソニーマガジンズ)



文: 牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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