1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. バットマン リターンズ
  4. 『バットマン・リターンズ』バートン節が狂い咲き!もはやヒーロー映画ではないバットマン
『バットマン・リターンズ』バートン節が狂い咲き!もはやヒーロー映画ではないバットマン

『バットマン・リターンズ』バートン節が狂い咲き!もはやヒーロー映画ではないバットマン

PAGES


はみ出し者たちへの共感を謳う“バートン映画”の確立



 バートンにとって幸いだったのは、本拠であるロサンゼルスで撮影を行なったこと。前作がアウェーのロンドンでの撮影だったこともあり、思い通りにいかないことも多々あったという。しかし、ロサンゼルスには気心の知れた俳優たちがいるし、脇の重要なキャラクターに配することもできる。たとえば、バートンのデビュー作『ピーウィーの大冒険』(85)で主演を務めたポール・ルーベンスや、同じく同作以来となるコメディ女優ジャン・フックス。彼らのコミカルな存在感は、本作のユーモアを支えるうえで大きな役割を果たした。


 ロンドンの残り香があるとすれば、それはテーマ曲だろう。前作ではプリンスを起用したが、今回は70年代から活動しているロンドンのパンク~ゴス・バンド、スージー&ザ・バンシーズの書下ろし曲“Face to Face”。このナンバーは仮面舞踏会の場面と、エンドクレジットの2度にわたりフィーチャーされた。



 バンシーズはアメリカで大ブレイクすることはなかったが、バートンが独自のゴシック映像に重ねたことにより、この後アメリカでも広く認識されるようになり、『アトミック・ブロンド』(17)『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』(17)などの最近のハリウッド映画でも、その楽曲が多く使われるようになった。


 『バットマン・リターンズ』は1992年のサマー・シーズンの目玉として世界的に公開されたが、あいにく世界興収は前作の3分の2ほどの2億6千万ドルにとどまる。レビューの多くは“暗すぎる”というものが占めていた。確かにヒーロー・アクションにあるべき痛快さはない。しかし、ここには前作『シザーハンズ』から顕著になり始めた、バートンが一貫して描き続けているフリークス愛がある。


 また、ゴシックの世界観は、この後『スリーピー・ホロウ』(99)『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(07)などの作品で、さらに開花することになる。ちなみにバートン自身は「僕はこの映画を前作より気に入っている。一作目よりも陰鬱さは和らいでいるしね」と語っている。



 『バットマン』シリーズはこの後さらに2作が作られ、ヒーロー・アクションへと方針が変更され、バートンは監督を降板する。その後の彼の活躍はご存知のとおり。『ナイメアー・ビフォア・クリスマス』(93)や『エド・ウッド』(94)『マーズ・アタック!』(96)と、はみ出し者たちにスポットを当てた快作を連打し、1990年代を代表するカリスマ的な奇才として確固たる地位を築いた。


 ビッグバジェットの作品でやりたいことをやった本作は、ティム・バートンのメジャー監督としての源流でもある。そんなバックストーリーは、ある意味、本編よりはるかに痛快ではないか。



文: 相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



今すぐ観る


作品情報を見る





『バットマン リターンズ』

ブルーレイ ¥2,381+税/DVD ¥1,429 +税

ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

BATMAN RETURNS and all related elements are the property of DC Comics TM & (c) 1992. (c)1992 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. 

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. バットマン リターンズ
  4. 『バットマン・リターンズ』バートン節が狂い咲き!もはやヒーロー映画ではないバットマン