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『ナイト・オン・ザ・プラネット』ジム・ジャームッシュ発、地球規模で街の裏側を見つめた都市映画

『ナイト・オン・ザ・プラネット』ジム・ジャームッシュ発、地球規模で街の裏側を見つめた都市映画

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自然でリアルな会話



 ジャームッシュは自分自身を演出家(ディレクター)というより、フィルムメイカーと考えているそうだ。


 自身で脚本を書かない演出家はまずは企画に入り、脚本を読んでから、俳優を決めて、リハーサルをするが、彼はその逆の方法で作る。まずは俳優を念頭に置いて、脚本を書くことが多く、その後、リハーサルを始める。そして、俳優たちの個性をつかんでから、脚本に手をいれることも多いという。


 通常のハリウッド映画では脚本が重視されるが、彼はキャスティングやリハーサルに重点を置いている。


 そんな彼が大事にしているのは、自然でリアルなセリフで、現場で即興が採用されることも多い。後半のヨーロッパにおける3つのエピソード(パリ、ローマ、ヘルシンキ)は英語ではなく、その土地の言語が使われるが、その場合、翻訳者と一緒にシナリオを英語から翻訳するものの、俳優たちと相談して、よりリアリティのあるセリフへと変えていったそうだ。




 ちなみにパリの挿話で黒人の運転手が使っているのは、ストリート系のフランス語で、彼が見せる生きた言語感覚がジャームッシュには大切なのだろう。


 彼はニューヨーク大学の先輩でもある、マーティン・スコセッシの監督作の言語に共感するものを感じているという。「スコセッシ映画に出てくる人物たちの言葉はすごくリアルで強烈だ。彼らの言葉そのものがキャラクターを作り上げている。僕にとっても、言葉遣いはすごく重要だ」(前述の”Sight and Sound”のインタビューより)


 ジャームッシュ映画には身近な人物が出てくるが、彼らに対する親近感は、日常生活を反映した言葉遣いからも生まれているのだろう。


 『ナイト・オン・ザ・プラネット』は、タクシーという狭い箱の中だけで物語が展開するため、特にセリフのやりとりに重点が置かれる。だから、言葉が生きたものになることで、人物像が本物に見える。そして、彼らの会話が、微妙にずれていくからこそ、不思議なおかしさが生まれていく。



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