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『ゴースト・オブ・マーズ』鬼才ジョン・カーペンターの不遇な快作、その凄みを掘り起こす!

『ゴースト・オブ・マーズ』鬼才ジョン・カーペンターの不遇な快作、その凄みを掘り起こす!

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自分テイストの踏襲、そして偉大な巨匠へのオマージュ



 熱心なカーペンター・ファンなら、この映画の中に彼の過去作の影を見るだろう。人里離れたコミュニティの人々の肉体が、異星生命体に乗っ取られる点では『遊星からの物体X』を。アイス・キューブふんする、もうひとりの主人公、囚人ウィリアムズのタフで負けん気の強いキャラクターに、『ニューヨーク1997』やその続編『エスケープ・フロム・L.A.』(96)を。


 何より類似しているカーペンター作品は『要塞警察』(76)だ。引っ越し間近で人手がない警察署をストリートギャングが包囲。これに警官と囚人が立場を超えて手を組み、抵抗するのだが、この大筋は、『ゴースト・オブ・マーズ』のバラードとウィリアムズの関係性にそのまま引用されている。どちらもガッツのあるキャラクターで、たがいに認め合うことになるのも共通点だ。



 『要塞警察』には元ネタがある。ハワード・ホークス監督による西部劇の名作『リオ・ブラボー』(59)。11歳のときにこの映画を見たカーペンターは、圧倒的な敵勢に包囲された状態で戦いを余儀なくされるガンマンたちのサバイバルを描いた本作に魅了され、何度も劇場に足を運んで見直したという。


 『ゴースト・オブ・マーズ』が『要塞警察』の子どもならば、『リオ・ブラボー』の孫ともいえる。実際、カーペンターは本作にもハワード・ホークスへのオマージュを込めた。例えば、麻薬中毒の囚人がタフガイ気どりでナイフを握って、うっかり自分の指を切り落としてしまう、痛々しいが笑える描写はホークスの『果てしなき蒼空』(52)からの引用だ。そして何より、ホークス作品らしい“男気”が宿っている。バラードは女性だが、共闘を通してそのガッツをウィリアムズも認めている、という点で。



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