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『ウォッチメン』原作の持つ迷宮的魅力。その再現にこだわりぬいたザック・スナイダー

(c)Photofest / Getty Images

『ウォッチメン』原作の持つ迷宮的魅力。その再現にこだわりぬいたザック・スナイダー

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『ウォッチメン』あらすじ

世界を揺るがす事件の陰には“監視者”がいた。ウォッチメンと呼ばれた彼らが今、次々と消されていく。闇に隠された想像を絶する巨大な陰謀。真実の先に待ち受けるものとは―


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あまりにも…あまりにも忠実な映像化



 ザック・スナイダー監督の『ウォッチメン』(09)は大変意欲的な作品だ。映像化困難と言われた傑作アメコミを、こだわりぬいた映像表現で映画化。多くの観客を魅了することに成功した。スナイダーはダークな世界観を重量感のある映像で表現することに長けており、原作の雰囲気を上手く映像に変換したと言える。しかし、今改めて見返してみると、同作は映画としての流れに多少物足りなさを覚えてしまう。全体が意外に平板に感じるのだ。


 スーパーヒーローたちの群像劇であるため、明確な主役がいないことや、原作の複雑にして重層的なストーリーを映画サイズに圧縮したことが原因かも知れない。でもやはり、最も大きな要因は、原作コミックをあまりにも忠実に映像化したからではないだろうか。


『ウォッチメン』予告


 ストーリーはほぼそのままで、脚色は最低限に抑えられている。構図ひとつとってもコミックの画をそのまま再現したカットが多く、登場人物のセリフが次のシーンにまたがる演出まで忠実に則っている。なぜ、スナイダー監督はここまで、コミックをなぞることにこだわったのか。考察を進めるには、原作者アラン・ムーアがコミック版「ウォッチメン」に込めた意図を紐解く必要があるだろう。



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