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『レオン 完全版』寡黙な男と、雄弁な映像――“想い”を誘発する「魅せ方」の妙

『レオン 完全版』寡黙な男と、雄弁な映像――“想い”を誘発する「魅せ方」の妙

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ナタリー・ポートマンの「泣く」演技の陰にあった苦労



 では、『レオン』が生まれた背景を今一度、振り返ってみよう。もともと『ニキータ』(90)で暗殺者を描いていたリュック・ベッソンは、同作に登場する“掃除人”のキャラクター(演じているのはジャン・レノ)を膨らませることを思いつく。


 当初、ベッソンは夢だった『フィフス・エレメント』(97)の制作に取り掛かっていたものの、資金繰り等に苦労していた。そこで彼は、低予算の映画を制作し、その売り上げを制作費の足しにしようと考える。そこで生み出されたのが、『レオン』だったというわけだ。


 結果的に本作は大ヒットを記録し、『フィフス・エレメント』は無事制作にこぎつけた。それどころか『レオン』の続編の企画も持ち上がり、脚本執筆まで行ったそうだが、ベッソンがスタジオから独立したこともあり、とん挫。そのアイデアは、のちに『コロンビアーナ』(11)で使われる。


 『レオン』は『ニキータ』からの派生作品であるため、主演はジャン・レノの一択だったが、メル・ギブソンとキアヌ・リーヴスが興味を持っていた、という話もあるという。ちなみに、マチルダ役のオーディションには、クリスティーナ・リッチも参加していたとか(リヴ・タイラーも候補の1人だったよう)。キャスティング当時11歳だったナタリー・ポートマンは「若すぎる」との理由でキャスティングディレクターから1度は外されたそうだが、オーディションで彼女が見せた演技にベッソン監督が感銘を受けたこともあり、役をつかんだ。




 とはいえポートマンの両親は、娘がマチルダ役をチャレンジすることに不安もあったそうで、ベッソン監督は「喫煙シーン」を制御し、ポートマンが実際にタバコの煙を吸うことのないように気を配ったそうだ。劇中では、レオンがタバコを止めるようにマチルダに言い含めるシーンが重要なパートにもなっており、脚本面でもふたりの絆を示すものとして、構成されている。


 余談だが、ポートマンは撮影当初、家族が亡くなったことを知ったマチルダが泣きながらレオンの部屋に向かうシーンの演技に苦労したそう。そこで、ベッソン監督は彼女の目にミントオイルを吹きかけることでサポートしたという。ポートマンが語ったところによると「とても痛くて、それからは的確に泣けるようになった」らしい。くだんのシーンは、レオンがドアを開ける→マチルダが光に包まれるという演出で“救済”を見事に表現しているが、舞台裏では知られざる苦労があったようだ。


 このように、『レオン』にはまだまだ無数の裏話が隠されている(たとえば、エリック・セラによる『007 ゴールデンアイ』(95)での使用曲「The Experience Of Love」は、元々は『レオン』のエンディングテーマになる予定だったらしい)。それらを踏まえてから今一度作品を見返すと、また新たな感慨が生まれることだろう。



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