『レオン』あらすじ
ニューヨークの片隅に立つアパートで孤独に生きる男、レオン。彼の正体はプロの殺し屋で、トニーという男の仲介を経て暗殺を行っていた。そんなある日、彼の隣室に暮らす一家をスタンフィールドとその部下たちが惨殺する。たまたま外出していた12歳の娘マチルダは、異変を感じてレオンの部屋へ向い救いを求める。彼女をかくまったレオンは、そのまま一緒に生活を送ることになり……。
Index
- 25周年を迎えても色あせない人気作
- ナタリー・ポートマンの「泣く」演技の陰にあった苦労
- 三者三様のキャラクターの「顔見世」
- 衣装を「替える」「着る」「脱ぐ」が意味する心理描写
- アクションシーンにもにじむ“ドラマ性”
25周年を迎えても色あせない人気作
不朽の人気作『レオン』(94)、すでに日本公開から25年以上が経った。
寡黙な殺し屋と孤独な少女の絆、ニューヨークの片隅を舞台にしたモダンな映像、哀愁漂うサウンドトラックとスティングの主題歌――、現代ではコンプライアンス的にやや引っ掛かりそうな設定や、過激な暴力描写はあれど、年齢や性別を問わず世界中の人々を魅了し続けているのも、納得の名作だ。
ニューヨークで暮らすプロの殺し屋レオン(ジャン・レノ)は、ある日アパートの隣人マチルダ(ナタリー・ポートマン)に助けを求められる。彼女は、汚職警官のスタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)に家族を殺されてしまったのだ。「追い出されたら殺される。私も殺し屋になりたい」と懇願する彼女を、やむなく引き取ることにしたレオン。マチルダと共同生活を送る中で、愛情が芽生えていく。
『レオン』はラブストーリーであり、バイオレンスアクションであり、ヒューマンドラマとサスペンスの要素も併せ持つ。そして何より、カラッとした娯楽作とはやや趣の異なるアート性を漂わせている。フランス人であるリュック・ベッソンならではの気質、且つ、まだハリウッドに染まっていないころだったが故、作家性が如実に出ているといえるのかもしれない。
『レオン 完全版』予告
1994年の11月に全米公開された本作は、初週第5位でデビュー。ベスト10には『ライオン・キング』『スタートレック ジェネレーションズ』『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』『パルプ・フィクション』などがランクインしている(参考:Box office mojo)。
ちなみにその年の全米興行収入ランキングは、
1位:『ライオン・キング』
2位:『フォレスト・ガンプ 一期一会』
3位:『トゥルー・ライズ』
とのこと。
『レオン』は72位だが、リュック・ベッソンのハリウッド初監督作品であること、出演者がまだ世界的ブレイクを果たしていなかったこと、米国ではR指定作品(17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要)だったことなどを考えると、全米興収1,900万ドルはヒットと呼べるのではないか(THE NUMBERSによると、製作費は概算1,600万ドルで、世界興収は4,500万ドルとのこと)。
公開当時小学生だった筆者はリアルタイムで本作を観ておらず、「時代の空気」については肌で体感できていないのだが、それでも当時、本作が観客・批評家の双方から受け入れられたことは想像に難くない。日本ではサウンドトラックの売れ行きも好調だったとか。
まずは数字周りをご紹介したが、次項からは作品の中身について、当時のエピソード等も交えながら紹介していこう。なお今回は、スクリーニングの観客の反応が芳しくなかったためにやむなくカットされた劇場公開版(110分)ではなく、製作者の意図がより忠実に反映された『レオン 完全版』(133分。NetflixやAmazonプライム・ビデオなどでも視聴可能)を取り上げたい。