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『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を観た後は…⁉︎ “原型”や派生作品を楽しんでみよう!

(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を観た後は…⁉︎ “原型”や派生作品を楽しんでみよう!

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異例尽くしのヒットパターン



 立ち位置的には、一見さん向きではない『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。


 もちろん、漫画『鬼滅の刃』の累計発行部数は1億部を突破(電子版含む)しており、多数の「物語を知っているファンがいる」ものの、それだけではここまでの数字は叩き出せない。プラス、原作好きには往々にして「アニメ版はイメージと違うから観ない」という層もいるものだ。ただ、こと『鬼滅の刃』に関しては、アニメ版のクオリティが桁違いに高いため、原作ファンからの支持も厚く、物語を知っていても観に行く動機が十分にある。


 原作ファンをアニメ版に引き出す常套手段は、劇場プレゼントをつけること。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』でも、原作者・吾峠呼世晴氏の描き下ろし漫画が収録された「煉獄零巻」が配布された。だがしかし、この描き下ろしは、劇場配布に先行して、10月5日に発売された「週刊少年ジャンプ」第44号に収録。これも、かなりのレアケースであり、いわばアドバンテージを捨てた状態ともいえる(逆に言えば、少年ジャンプ本誌が恩恵を受ける形)。特典で「釣る」アプローチを、行っていないのだ。



『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable


 また「売れているから、気になった」「ブームだから観てみようと思った」などの理由で『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を劇場観賞した層も多いだろうが、これはそもそも「興味を抱いていなかった人々にも届く」ほど話題性になっていなければならず、連載開始当初から追いかけてきたオールドファンや、TVアニメ版でハマった新規ファンの貢献があったがゆえだろう(もちろん、公開時期に合わせたテレビアニメの特別編集版のテレビ放送など、イベント感をあおる仕掛けも効果的だった)。


 つまり、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の大ヒットは、「原作からのファン」「TVアニメ版からのファン」「シリーズ未読・未見者」全員が動いたからこその結果ともいえる。続き物の“途中”を映画化した作品でこんな結果を出せるのは極めて異質であり、再現性を見出すことがなかなかに難しい。


 さらに、新型コロナウイルス禍という特殊な環境下であることも、無視できない。競合作品の公開延期や、全体的なコンテンツ不足、深夜帯のためリアルタイムで観られなかった若年層が、外出自粛期間や学校の休校などで観賞時間が生まれ、配信で観てハマった、子どもたちと一緒に観て、親もファンになった……といった流れ、さらにはユーザーの購買心理への影響も少なからずあるだろう。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』はビジネスモデルとして今後の映画興行に様々な可能性を与えていく存在ではあれど、同時に「特例」の側面も強いのだ。


 しかし、だからこそ、本作は「異例のヒット作」として、多くの人々の心に残っていくのかもしれない。



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