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『現金に体を張れ』キューブリックの才能を世界に知らしめたハリウッド・デビュー作

© 1956 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.© 2019 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

『現金に体を張れ』キューブリックの才能を世界に知らしめたハリウッド・デビュー作

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『現金に体を張れ』あらすじ

刑務所から出所をしたばかりのジョニーは、競馬場での現金強奪を画策し、仲間を集め始める。周到な準備の末、実行をされた計画は成功をしたかに思えたが....スタンリー・キューブリック、28歳時の長編第3作。ライオネル・ホワイトの小説“Clean Break”を原作に、作家ジム・トンプソンが脚本に参加して映画化。同時進行的にシーンを展開させる巧みな編集とダイナミックでスタイリッシュな映像感覚は後の数多くの映画作家たちに影響を与えた。主演は『博士の異常な愛情』(64)で知られるスターリング・ヘイドン、撮影は『ワイルド・バンチ』(69)などを手掛けた名手ルシアン・バラード。


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ジェームズ・B・ハリスとスタンリー・キューブリック、運命の出会い



 スタンリー・キューブリックの記念すべきハリウッド・デビュー作、それが『現金に体を張れ』(56)である。「ゲンナマにカラダをハレ」である。原題は『The Killing』。「殺し」以外に「大儲け」という意味も含まれているダブル・ミーニングで、コレはコレでかっこいいのだが、それをこんな邦題に仕立て上げてしまうセンスには脱帽なり。


 原作は、ライオネル・ホワイトの『逃走と死と』。競馬場から200万ドルもの現金を強奪する計画を立てた5人の男たちが、やがて悲劇的な結末を迎えるまでを描いたクライム・ストーリーだ。この映画化権を格安の1万ドルで獲得したのが、ジェームズ・B・ハリスなる人物。映画・テレビの配給会社フラミンゴ・フィルムズのオーナーの息子で、ミュージシャンになるためジュリアード音楽院に通っていたという経歴をもつ、筋金入りのおぼちゃまである。なんだかんだで、父親と同じくプロデューサーの道を歩むことになった彼は、格安ゲットした『逃走と死と』の映画化権を、フランク・シナトラに売却することを考えていた(彼もまたこの原作に目をつけていた)。



『現金に体を張れ』© 1956 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.© 2019 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.


 しかし最終的に彼は、自らのプロデュースでこの映画を製作することになる。共通の知人の紹介で、ハリスはスタンリー・キューブリックと運命的な出会いを果たしていた。


 「アレックス・シンガーはスタンリー・キューブリックの少年時代の友人で、彼がスタンリーを紹介してくたんです。私が陸軍を退役したあとスタンリーと再会して、最新作『非情の罠』の試写会に誘ってくれたんですね。彼はそれまでに『恐怖と欲望』を監督していましたが、私はスタンリーの作品に非常に感銘を受けたんです。」

(ジェームズ・B・ハリスのインタビューより抜粋)


 当時のキューブリックはまだアマチュアの映画作家で、チェスをしながら日銭を稼ぐ日々。しかしハリスは、自分と同い年の青年の底知れぬ才能に、心から畏敬の念を抱いていた。意気投合した二人は「ハリス・キューブリック・プロダクション」を設立し、二人三脚で映画界に殴り込みをかけることを決意する。その記念すべき第1作が、『現金に体を張れ』だった。




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