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『大統領の陰謀』若き新聞記者たちの情熱が刻印された、崇高なまでのジャーナリズム精神

© 1976/Renewed © 2004 Warner Bros. Entertainment Inc. and Wildwood Enterprises Inc. All rights reserved.

『大統領の陰謀』若き新聞記者たちの情熱が刻印された、崇高なまでのジャーナリズム精神

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レッドフォードに招かれた主演俳優、脚本家、監督たち



 ロバート・レッドフォードは偉大な映画人であると同時に、社会問題や環境問題について積極的に発言を行ってきたアクティビストでもある。そんな彼が「アメリカ最大の政治スキャンダルを、自らの手で映画化したい」という思いを抱くことは、至極自然な流れだった。レッドフォードは、まだ出版前だった『大統領の陰謀 ニクソンを追いつめた300日』の映画化権を45万ドルで購入。ワーナー・ブラザースから資金提供の約束も取り付けた。


 だがここで、レッドフォードは一つの問題に直面する。ワーナー・ブラザースが突き出してきた条件が、「ロバート・レッドフォード自身が主演すること」だったのだ。この映画は、二人のジャーナリストの苦闘を描く物語なのだから、レッドフォードと同クラスのスターを擁立させないと、作品のバランスに狂いが生じてしまう。ボブ・ウッドワードは自分が演じるとして、カール・バーンスタインは一体誰に演じさせるべきなのか?


 レッドフォードが出した結論は、『卒業』(67)、『真夜中のカーボーイ』(69)、『パピヨン』(73)で演技派としての名声を確立していたダスティン・ホフマンの起用だった。レッドフォードは、ニューヨーク・ニックスの試合を観戦していたホフマンにいきなり声をかけるという、ほとんどナンパのような行為で出演をオファー。かくして、もう一人の主役=カール・バーンスタイン役にスター俳優の名前が加わる。



『大統領の陰謀』© 1976/Renewed © 2004 Warner Bros. Entertainment Inc. and Wildwood Enterprises Inc. All rights reserved.


 次にロバート・レッドフォードは、脚本家のウィリアム・ゴールドマンにスクリプト作りを依頼する。二人は、『明日に向って撃て!』(69)、『ホット・ロック』(72)、『華麗なるヒコーキ野郎』(75)、『遠すぎた橋』(77)でもタッグを組んでいる旧知の仲だった。ゴールドマンはレッドフォードのアツい想いに応えるべく、「ウォーターゲート事件の映画化」という困難なミッションに取り掛かる。それは、「明確な情報ソース、明確な裏付けがなければ、シナリオに取り入れることはできない」という、極めて厳しい条件下での挑戦だった。


 レッドフォードが監督に指名したのは、『ダーリング』(64)、『イナゴの日』(75)などで知られるジョン・シュレシンジャー。『真夜中のカーボーイ』(69)ではアカデミー監督賞を受賞しているビッグ・ネームだ。しかしイギリス人の彼は、「ウォーターゲート事件はアメリカ人が語るべきだ」と断ってしまう。最終的に監督の座に収まったのは、アラン・J・パクラ。『パララックス・ビュー』(74)など社会派サスペンスの傑作を数多く発表してきた、ジョン・シュレシンジャーに勝るとも劣らない名手だ。


 一流のスタッフ、一流のキャスト。映画は、順風満帆に出航するものと思われた。だがここで、思わぬ事態が発生する。苦労の末に書き上げたウィリアム・ゴールドマンの初稿が、ロバート・レッドフォード、アラン・J・パクラを満足させるものではなかったのだ。




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