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『大統領の陰謀』若き新聞記者たちの情熱が刻印された、崇高なまでのジャーナリズム精神

© 1976/Renewed © 2004 Warner Bros. Entertainment Inc. and Wildwood Enterprises Inc. All rights reserved.

『大統領の陰謀』若き新聞記者たちの情熱が刻印された、崇高なまでのジャーナリズム精神

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ウィリアム・ゴールドマンを激怒させたシナリオ改変事件



 ゴールドマンの初稿には、原作者のボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインも異論を唱えた。バーンスタインは自分で脚本を書きたいと申し出て、独自にシナリオ開発を進めてしまう。その作業には、当時のバーンスタインの恋人でニューヨーク・ポスト記者だったノーラ・エフロンも参加した。


 ノーラ・エフロンといえば、後に脚本家に転身して『恋人たちの予感』(89)のシナリオを書き、映画監督として『めぐり逢えたら』(93)、『ユー・ガット・メール』(98)を手がけてきた人物。彼女はロマンティック・コメディの名手で、硬質なポリティカル・サスペンスとは明らかに食い合わせが悪い。事実、彼らが書き上げた脚本にはギャグやジョークが散りばめられ、取材対象の女性にモーションをかけるようなシーンも含まれていたという。大統領特別顧問コルソンの事務所に勤める女性に、バーンスタインが「実に美人だ」と口説きモードで取材する場面には、その名残りが見て取れる。



『大統領の陰謀』© 1976/Renewed © 2004 Warner Bros. Entertainment Inc. and Wildwood Enterprises Inc. All rights reserved.


 ロバート・レッドフォード、ボブ・ウッドワード、カール・バーンスタインとの打ち合わせに呼ばれたウィリアム・ゴールドマンは、驚愕の事実に唖然とする。心血注いだシナリオが、勝手に書き換えられてたとは!?ゴールドマンは新しい脚本を断固拒否し、そのまま部屋を出ていってしまう。


 バーンスタイン&ノーラ・エフロン ver.のシナリオには、実はウッドワードも不満を抱いていた。ウッドワードが、バーンスタインを崇拝する世間知らずの素人記者として描かれていたからだ。ウッドワードは後にゴールドマンに電話して謝罪し、「私の人生で最悪な出来事の一つは、彼ら(バーンスタインとノーラ・エフロン)に書かせてしまったことだ」と語ったという。


 ロバート・レッドフォード、アラン・J・パクラもシナリオの改修に尽力し、紆余曲折を経て『大統領の陰謀』は何とか最終稿を脱稿。いよいよ撮影に入ることになる。




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