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『スプリング・ブレイカーズ』ハーモニー・コリンが確信犯的に描く“現実逃避の終焉“

(c)Photofest / Getty Images

『スプリング・ブレイカーズ』ハーモニー・コリンが確信犯的に描く“現実逃避の終焉“

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神から許された?現実逃避のパーティー三昧



 序盤では、ある聖書の一節が引用されている。「神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます(コリント人への手紙第一 10章13節)」


 彼女たちは、少なくともこの言葉を直接聞いていたフェイス(セレーナ・ゴメス)は、退屈な日常を試練として捉え、スプリング・ブレイクのバケーションを、神が与えてくれた“逃れる道”だと都合よく考えているきらいがある。彼女にとっては、ハメを外して遊ぶことも、神さまのお墨付きを得た遠大なミッションの一部かも知れないのだ。



『スプリング・ブレイカーズ』(c)Photofest / Getty Images


 かつてティーンエイジャーのロールモデル的な役割を担っていたセレーナ・ゴメスやヴァネッサ・ハジェンズの起用には、世間を逆なでしようという意図が感じられる。ゴメスは2007年からディズニー・チャンネルで放送されたドラマ「ウェイバリー通りのウィザードたち」に主演していた元子役スター。ハジェンズはディズニー・チャンネルのヒット作「ハイスクール・ミュージカル」で大ブレイクし、一躍ティーンのアイドルになった。


 コリンは明らかに、セレーナやヴァネッサが持つ(あるいはかつて持っていた)ポップアイコンとしてのイメージを利用している。もちろん彼女たちがコリンという才能に惚れ込んだからこそ実現したキャスティングなのだが、「あの優等生タレントがビッチ堕ち!」という三面記事的な惹句も含めたところで成立している、メタフィクショナルな現代アートという側面を見逃してならない。




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